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17年4月めどに新会社が営業開始

日本ゼオンと住友化学がS-SBR事業を統合へ

原材料 2016-08-08

日本ゼオンのシンガポール工場

日本ゼオンのシンガポール工場


 日本ゼオンと住友化学は8月4日、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)事業の統合に向けた検討を開始することで基本合意したと発表した。9月末までに統合効果の調査・検討を行い、12月末に最終契約締結、17年4月をめどに新会社の営業を開始する。

 今回の事業統合は、S-SBR事業における新製品開発やコスト競争力の強化、安定供給の確保等による事業強化が目的。新たな合弁会社の設立や両社の子会社を含めたS-SBR事業の合弁会社への移管などについて検討する。両社はシンガポールにS-SBRの製造拠点を有するが、新会社の本社は日本を想定している。
 
 

年率6-7%の伸び

 両社が統合を目指すS-SBRは、2015年度の世界需要が約110万トン。タイヤのラベリング制度等を背景とした省燃費タイヤ用途が順調に伸びており、年率6―7%で成長している。性能、品質面から世界の中でも日系メーカー(JSR、日本ゼオン、旭化成、住友化学)が優位にあるとされる。タイヤメーカー向けにはカスタムグレードも多く、一度納入されると、他社品への切り替えは容易ではない。

 生産能力は日本ゼオンが年12.5万トン(徳山工場5.5万トン、シンガポール工場は第2期を含め7万トン)、住友化学が同4.8万トン(千葉工場8000トン、シンガポール工場4万トン)。それぞれシンガポールに製造拠点を有している。日本ゼオンは第1期がすでにフル生産で、第2期についてもサンプル出荷を行っている。7月27日に開催された第1四半期の決算説明会では、同社の平川宏之取締役常務執行役員が第2期について「現在行われている評価が終了すれば、下期には販売に寄与する」との見通しを示していた。

 一方の住友化学は、前期にシンガポールの製造設備で約85億円の減損損失を出した。事業計画の見直しに伴い、将来の収益性が低下したと判断した。シンガポールでは第2期についても検討を進めていたが、「まずは現状の第1期をフル生産に持っていくことが重要」(住友化学)という。第2期については、新会社のもと需給を見極めた上で判断していくものとみられる。

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