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2025年 年頭のあいさつ

日本ゴムホース工業会 森 重道会長、2025年のゴムホース予測 生産量は1.7%増の3.2万トン

工業用品 2025-01-06

 昨年を振り返ると、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東地域の紛争など、国際情勢が一段と不安定になっており、不確実性が高まっているものと思う。また米国のトランプ次期大統領が掲げている追加関税や移民規制の強化など米国保護主義色が強まることによる世界経済の不透明感、地政学リスクを背景とした資源価格高騰などの懸念材料があり、さらに中国経済の減速が中国向け輸出の悪化を通じて世界経済の下押し圧力となっており経済環境は依然厳しいものがあると思う。

 日本経済は内需主導の緩やかな回復に転じている。2024年12月9日に発表された7~9月期のGDP成長率は、前期比0.3%(年率1.2%)と2四半期連続のプラスとなった。海外経済減速や物価高が重しとなっているが、生産を持ち直した自動車販売の回復等、個人消費の伸びが全体を押し上げている。一方、人手不足による供給制約や台風等を受けて設備投資は弱含みとなっている。しかしながら、先行きは、雇用・所得環境の改善に伴う民間消費の拡大や旺盛なインバウンド需要などにより、さらなる持ち直しを期待している。

 このような情勢下、ゴムホース業界においては、実体経済の動向を見据えながら、市場の変化と需要動向へ機敏に対応しつつ、継続的な変革に挑戦し続ける企業経営が肝要だと考えている。

 2024年のゴムホースの新ゴム生産量は、12月の集計が終わっていないが、高圧用、自動車用、その他用ホース、全品種で前年実績を下回る見込み。ゴムホース全体の年間生産量は、前年比6.7%減の3万1,631トン、出荷金額は同5.7%減の1,342億円といずれも前年を下回る見通し。

 昨年の輸出入の状況は、輸出は全体の約35%を占めるアジア向けが同約4.3%増、北米向けは同約24%増の見込み。円安も寄与し年間の総輸出額は、同約10%増の591億円を見込んでいる。輸入については、アジア地域が中国の不振を受け横ばいとなるものの、主力の自動車用ホースをはじめ、北米・欧州地域で前年を上回り、年間の総輸入額は同約4%増の255億円の見通し。

 2025年のゴムホースの新ゴム生産予測量は、前年比1.7%増の3万2,160トン、出荷金額は同1.8%増の1,366億円になると予測する。

 品種別では、生産構成比約70%を占める自動車用ホースが、認証不正問題による影響が解消に向かい、第1四半期(1~3月)は前年の反動で増加するものの、4月以降は横ばいで推移すると推定し、年間生産量は同2.4%増と予測する。

 構成比約14%の高圧用ホースに関しては、主な需要先の土木建設機械が上期には底を打ち、以降、国内は横ばい、輸出は緩やかに回復と予測。工作機械は北米需要減の影響はあるものの、新エネルギ-・半導体に関連した需要が中国等で戻りつつあると推定し、年間生産量は同ほぼ横ばいと予測する。

 構成比約16%のその他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン等)、耐油・耐摩耗・ケミカルホースの一般産業分野での需要が安定基調で推移すると見ており、年間生産量は同ほぼ横ばいと予測する。

 以上のことから、2025年のゴムホースの生産量は、前年をわずかに上回るレベルで推移するものと予測する。

 2025年の輸出入については、輸出が615億円で同約4%増、輸入が257億円で前年並みを予測する。

 このような業界動向の中で、当会は、国際化の進展に伴い、2000年にISO機関のホース部門(TC45/SC1)で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の実状や考え方をISOに反映させるよう積極的な働きかけを実施してきた。

 2024年は、日本・奈良市で開催された、ISO/TC45国際会議に技術委員が参画し、プロジェクトリーダーとして積極的に提案を行うことで成果を上げた。2025年もインドで開催予定の国際会議に参画し、Pメンバーとしてのさらなる活動を推進していく。

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