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2025年 年頭のあいさつ

日本ベルト工業会 又場敬司理事長、2025年のベルト予測 コンベヤは3%減、伝動は横ばい

工業用品 2025-01-06

 昨年の日本経済全体は堅調な企業業績を背景に緩やかな回復に向かった。今年の日本経済も景気回復が継続していくと思われる。ただし、①国内では人手不足による供給制約、②米国のトランプ大統領の第2次政権による通商政策の行方、特に米中の貿易摩擦が再熱する懸念、③中国の内需不振と輸出拡大による貿易摩擦の懸念、④地政学リスクの高まりなど景気に対する不安定要素が多く、これらが国内景気の下振れ方向に向かう懸念が高まっている。

 コンベヤベルトの2024年度の生産量は7,138トン(前年比79%)の見込み。その内訳は、内需が5,145トン(同92%)、輸出が1,993トン(同57%)。内需は、主力需要先の鉄鋼メーカーの粗鋼生産量が中国の過剰生産による輸出増で回復せず、前年比100%を確保できず。輸出は鉱山需要が前年の特需の反動で大幅に落ち込んだ。

 2025年度の需要予測は6,897トン(前年見込比97%)とした。その内訳は内需が5,624トン(同109%)、輸出は1,273トン(同64%)の見込み。内需は鉄鋼産業ほか、主力需要先が回復し前年比100%超の見込み。輸出は海外景気の低迷を受けて鉱山需要が落ち込む見通し。

 伝動ベルトの2024年度の生産量は1万512トン(前年比102%)の見込み。その内訳は、内需が8,407トン(同97%)、輸出が2,105トン(同123%)。内需は主力需要先である工作機械産業が回復したが、自動車産業の認証問題による減産の影響を受けた。輸出は円安もあり好調だった。

 2025年度の需要予測は1万505トン(前年見込比100%)とした。その内訳は、内需が8,401トン(同100%)、輸出が2,104トン(同100%)。内需、輸出共に主力需要先である自動車産業、工作機械産業の需要を2024年度並みと見込んでいる。

 樹脂ベルトの2024年度生産量は約101万㎡(前年比101%)の見込み。その内訳は、内需が約93万㎡(同99%)、輸出が約8万㎡(同123%)。2大需要先である食品分野、物流分野を中心に取替需要が堅調だった。物流分野は大型物流倉庫新設は以前の活況な時期と比べると落ち着いたが、取替需要が発生した。

 2025年度の需要予測は、約105万㎡(前年見込比104%)と100万㎡の大台は確保できる見通し。その内訳は内需が約97万㎡(同104%)、輸出が約8万㎡(同101%)。インバウンド需要、外食産業の回復による食品分野と物流センターの取替需要による物流分野を取り込んでいく。

 これまでと比べて、海外要因を中心に景気の先行き不透明感が増しており、これらのマイナスの側面が強まれば、景気の持ち直しの勢いが弱まり失速に至るリスクが出てくる。このような状況下、当会は、経済政策や需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、ISO TC41のメンバーとして日本の考え方を ISOに反映させ日本規格の国際化を推進するなど、なお一層のベルト業界発展のため貢献していく。

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