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3Dプリンター事業に関するソリューション事例を多数展示

ホッティーポリマー、「Medtec Japan2024」に出展

工業用品 2024-05-07

 ホッティーポリマーは、同社独自開発で日本初のシリコーンゴム3Dプリンター「SILICOM(シリコム)」の実機と臓器・血管モデルなどの製造サンプルを、4月17~19日に東京ビッグサイトで開催された「Medtec Japan2024」に出展した。このほかブース内では3Dプリンター事業に関するソリューション事例を多数展示・紹介した。

ブースの様子


 今回の展示で特に注目したい事例は以下の通り。

シリコムの新たな活用事例①カキフライのロボットハンド

冷凍食品用カキフライのロボットハンド


 同社独自開発で日本初のシリコーンゴム3Dプリンターである「シリコム」。2023年4月に発売以降、アップデートを続けている。同展示会では、新たに冷凍食品用カキフライのロボットハンドの活用事例を紹介。同ハンドは、製造ラインでパッケージへ冷凍前のカキフライを移す際に使用される。

 「ポイントの一つが、ハンドの中が空洞になっていることだ。この空洞部分に空気を入れることで、使用時にハンドが丸まり、大きさがやや異なるカキフライでも、均一に包み込むように持ち、高速での運搬を可能にした。金型成形による空洞の製作は難しく、3Dプリンターだからこそ可能にした形状といえる」(ホッティーポリマー)

 また、ハンドの色は異物混入対策として、異物が目立つ青色を採用した。「同色は豊富なカラーバリエーションを取り揃えているシリコムだからこそ採用できた」(同)。

同事例②スポンジ構造

 段階的に柔らかさが異なるサンプルを展示。スライスソフトを活用することで、中の空洞部分の構造をそれぞれ調整し、気泡を持ったスポンジ構造のように、指で簡単に潰せるほど柔らかい造形物を可能にした。

シリコムよるスポンジ構造の柔らかいサンプル造形


 「社内で『スポンジのような構造の造形物を作れるのではないか』と試験的に製作した。食品などデリケートな製品を掴む際や、さらに柔らかいガスケットなどに応用展開ができるのではないかと考えている」(同)

同事例③硬度違いの造形

 低硬度から高硬度まで様々なラインアップがあるシリコムだが、この度新たに硬度20°と60°が登場した。

シリコムによる硬度違いの造形


 「柔らかい素材の3Dプリンターにおいて、同じ材質で6つの硬度――20°、25°、30°、40°、50°、60°と、ここまで幅広いバリエーションを要しているものはなかなかないと自負している」(同)

「Bambu Lab」シリーズ

 同社は低コストで高速造形を実現したMEX方式3Dプリンター「Bambu Lab」シリーズの取り扱いを開始した。同展示会では、同シリーズの最上位機種「X1E」を展示した。

「Bambu Lab」シリーズの「X1E」


 「X1E」は2023年秋に発売を開始した最新モデル。低価格に対して様々な機能を付与しており、スーパーエンプラであるPPS(ポリフェニレンスルファイド)での造形ができ、また自動素材供給システム(AMS)が標準装備されている。さらにAMSを増設することで最大16色までの多色造形も可能だ。

 「プリンターの設定がフルオートなのもポイントだ。コストパフォーマンスに優れていることから、3Dプリンター導入のハードルを下げてくれる製品だと思う。買い替えを検討している企業にもお勧めしたい。実際に、当社の展示をきっかけに即発注を依頼された事例もある」(同)

2023年11月から3Dスキャンデータ作成・造形サービスを提供

 現在3Dスキャンは、工業製品や自動車部品、航空宇宙や医療、フィギュアなど様々な業界で活用されている。

3Dスキャンを活用して制作されたフィギュア


 同社の「3Dスキャンデータ作成・造形サービス」は、金型や図面がない製品の製作(リバースエンジニアリング)、調達不可能となった部品の復元に対応できる。また車両などの大型対象物を3Dデータ化し、縮小サイズの模型造形も製作できる。

 同社では用途に合わせて3Dスキャナー「SHINING3D FreeScan Combo」と「SCANTECH IREAL M3」を使い分け、顧客のニーズに対応する。

 「SHINING3D FreeScan Combo」はマルチレーザー(ブルーレーザー、赤外線レーザー)を使い分け、最高0.02ミリの高精度スキャンやマーカーレスでの高速スキャンもできる。

 「SCANTECH IREAL M3」は、対象物をフルカラーでスキャンし3Dデータを作成、3Dフィギュア製作でも活用可能。マーカーレスでのスキャンも可能だ。

 「廃番となり調達できないような部品をスキャンし、金型レスで補修部品を製作することや、終息部品の金型をデータ化し金型保管負担を減らすことができる。また、同データを用い3D造形することで、コストダウンや事業負荷の低減にも繋がるのではないかと思う」(同)

3D大型受託造形サービスを開始。金型レスで大型製品の製作が可能に

 同社は従来の3Dプリンターによる受託造形サービスよりもさらに大型サイズに対応した造形サービスの提供を開始した。

 同サービスでは約1,000ミリ角サイズでの造形が可能。従来のMEX方式3Dプリンターによる大型造形、また同社パートナーであるスワニー社が保有する「ペレット材ダイレクト押出方式およびCNCフライス加工方式」を採用した3Dプリンター「Titan」で行う。

 材質としては、汎用材料から「スーパーエンプラ材料」や「柔軟性の高いエラストマーなどの軟質材料」、「カーボンやガラスを充填した強化繊維入り材料」に対応する。

 また「Titan」の場合、造形データ作成時に指定箇所の材料吐出量を増やし、積層間の強度を高めることができる。

 「量産品に近い強度を実現することができるため、小ロットの住宅機器などでも活用可能だ。当社のコア事業である顧客にもアプローチできるサービスだと考えている」(同)

 同社は今後の3Dプリンター事業について、「導入からその後の造形サポートまで、一貫したアフターサポートをするのが当社のモットーだ。また、ポリマー・ソリューション・エキスパートとして3Dプリンターやデジタル技術を活用しゴム・樹脂の困りごとを解決し、喜んでいただくことを目指している。新技術や情報を常に発信・取り入れ、今後も新しいことに挑戦していきたい」(同)。

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