バルカー、設備の定期点検・状態監視を一元管理「MONiPLAT（モニプラット）」をリリース

　バルカーは、設備の定期点検や状態監視をクラウドで一元的に管理できる設備点検プラットフォーム「MONiPLAT（モニプラット）」を4月25日にリリースした。それに先立つ24日には、中澤剛太取締役副社長・CDO兼経営全般補佐らが出席のもと本社（東京都品川区）で会見を開き、同サービスの開発背景や特長、今後の展望についてデモンストレーションを交えながら紹介した。

説明する中澤副社長

点検結果をスマホで入力、現場で申請

　モニプラットはスマートフォンやタブレットで定期点検・状態監視した情報を、クラウド上で一元管理できるサービス。「アプリをダウンロードする感覚で、気軽にプラッと開始し、点検業務をDX化できることをコンセプトとしている」（バルカー）。初期費用不要の月額サブスクリプションサービスで、20設備まで無料利用が可能。ユーザー（アカウント）数無制限なので、管理者・作業者等を何人でも招待し、組織全体で利用することができる。

　同社は1927年の創業以来、90年以上にわたりプラント、半導体、産業機器市場などの幅広い分野にシール材を提供し、設備の安全操業に貢献してきた。その中で、プラントの補修保全領域では、人手不足、デジタル化の遅れ、設備の経年劣化が慢性化していることを受けて、課題に対するソリューションとしてモニプラットの開発に至った。

　中澤副社長は会見で、「バルカーが90年以上培ってきた信頼は大きなアセット（資産）であり、メンテナンス領域でお客様が抱える課題と掛け算することで大きな事業価値になると考えた」と述べ、開発にあたっては「日本一始めやすいサービスにするため、無料で開始できる設計にすること、今後の潮流を見据えスマホオリエンテッド（指向）であることを特に重視した」と語った。

　一般的に設備点検は、定期点検という形で一定期間ごとに設備のメンテナンスを行うTBM（Time Based Maintenance）が主流だが、実状は紙に点検した数値を控え、それをエクセルに入力、印刷し、承認者が確認・承認し、それをファイル保管するといった非効率なアナログの管理がなされていることが多い。また、製造現場のデジタル化の加速に伴い、設備の状態をリアルタイムで把握するCMB（Condition Based Maintenance）へのシフトが進む中、様々なソリューションが濫立し、複数サービスを別々の管理画面で把握する必要があるなど、結果の記録・確認作業が煩雑になり、安全管理の効率、確実性が低下するリスクをはらんでいる。

　モニプラットはこれらの課題を解消するもので、TBM（日常点検）、CBM（設備診断）をひとつのプラットフォーム上で一括管理する。TBMにおいては、PC版のほか現場作業用に特化したスマートフォンアプリも用意。スマホでは点検結果を入力し、写真をアップロードするだけで自動的に報告書が作成され、現場からでも簡単に承認者に申請できる。また、設備ごとの点検実績がリスト化され、タップひとつで過去の報告書が閲覧できるほか、未報告の点検も分かるので点検漏れ防止につながる。

　PC版では作成した申請内容や承認の進捗状況も確認できる。複数承認者がいる場合には、どの段階まで進捗しているかも一目でわかる。承認者側では未承認ファイルの申請内容を確認し、クリックするだけでスピーディに承認が完了する。各設備の過去の点検結果を閲覧できるため、ファイルの保管も不要。点検結果を数字で入力したものは、自動でグラフ化され、閾値を設けることで最適な傾向をいち早く探知できる。点検・設備・管理が一気通貫となり、これまでの煩雑な手間の大幅な簡素化につながる。

　一方、CBMとしてのサービスは、別途料金で使用できる。現在は振動から設備の異常を事前に知らせる「VHERME （ベルム）」、建機油圧パッキンの交換時期を知らせる「SealMote（シールモート）」を展開しており、来春以降に産業機器のパッキン交換時期を知らせる「VALVESTA（バルベスタ）」を搭載していく。

　また、AIスタートアップのリッジアイとの共同開発も進めている。今夏にはTBMにおいて、AIによる高度な読み取り技術により、検診スキルの属人化を改装するシステムを導入する予定。AI機能を他のサービスにも活用していく。

　4月27日からはテレビCMをスタートさせ、モニプラットの周知を図るとともに、プラント工場を中心に、一部インフラや商業施設など設備点検を実施している全ての現場に提案していく。「創業100周年（2027年）のタイミング、さらにその先には、ひとつの柱となる事業に成長させたい」（中澤副社長）考えだ。