カーボンニュートラルに貢献
住友理工、薄膜断熱材「ファインシュライト」を工場・設備に応用
工業用品 2022-02-03
住友理工は同社が開発した薄膜高断熱材「ファインシュライト」について、製造現場や居室空間、設備、製品への応用を進めている。熱源の周辺などに設置して工場・設備での熱効率を高めたり、空調の稼働率を下げることで、燃料や電力などのエネルギー消費を抑制、事業活動に伴うCO2排出量削減を実現する。事業者のカーボンニュートラルを後押しすることで、脱炭素社会の実現に貢献していく。
ファインシュライトは、航空宇宙産業でも使用される高断熱フィラー「シリカエアロゲル」を応用した製品で、同社が高度な分散技術を駆使し高濃度での塗料化に成功した。コロナ禍で需要が高まったフードデリバリーや新型コロナウイルスワクチンの定温保管・輸送などの用途向けなど、各方面で同製品が採用されている。
採用事例をみると、アルミ部品メーカーの多田スミス(兵庫県朝来市、長尾英也社長)では、アルミ溶鉱炉の断熱補助剤として、不織布シートタイプを既存の断熱材の外周に貼り付けている。それにより、放熱を抑制する効果が見られ、ガス使用量が3.5%削減。表面温度が最大20℃下がったことで、従業員のやけど防止や作業環境の改善、空調の省エネにも寄与している。
また、洗浄機メーカーのAQUA・J(愛知県豊田市、大橋勇志社長)では、ねじなどの小さな部品を振動モーターによって洗浄・乾燥させる小物部品洗浄機向けに採用。乾燥工程の設備周辺に巻くことで放熱を抑制し、ヒーターの省エネ効果が確認されたほか、表面温度の低下でやけど防止にもつながっている。
加えて、自動車部品メーカーでは現場従業員の安全対策や労働環境の改善に貢献、酒造メーカーでは品質管理の取り組みとして使用されるなど、幅広い業種で施策・評価を実施している。
自動車への活用については、カーボンニュートラルで注目されるクルマの電動化において、電気自動車の航続距離の短さを解決するため、空調に使われる電力消費を抑える断熱材としての採用を目指している。さらに、バッテリー内部での発火時、熱連鎖を抑制し、車両火災につながることを回避する安全製品としても開発を続けている。
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