ランクセスは9月9日、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー向け材料事業を拡大すると発表した。

 ドイツのクレフェルト・ユルディンゲン拠点に新たなバッテリーラボを開設し、酸化鉄顔料およびリン酸鉄をベースとしたバッテリー材料の評価・開発を強化する。

新ラボで各種酸化鉄・リン酸鉄のLFPセルへの影響を直接評価し、確実な性能評価を実現

 新ラボでは、同社製品の材料特性を実際のバッテリーセル内で評価できる。

 酸化鉄およびリン酸鉄の各グレードがセル性能や加工性、用途適性に与える影響を迅速に検証することで、材料開発とセル評価をより密接に結び付け、次世代LFPバッテリー向け材料の開発を加速する。

 また、正極材にピロリン酸鉄ナトリウムを使用するナトリウムイオン電池など、他のタイプのバッテリー評価にも対応する。

 LFPバッテリー市場は世界的に拡大している。

 中国ではすでにEVの約4分の3がLFPバッテリーを採用。欧州では、ローランド・ベルガーの予測によると、市場シェアが現在の10%から、2030年には50%まで拡大する見込みだ。再生可能エネルギー向け定置型蓄電システムやデータセンター、重要インフラでの需要拡大も市場成長を後押ししている。

 一方、欧州や北米ではアジアのサプライヤーへの依存度低減に向け、新たなバリューチェーンの構築が進んでいる。

LFP電池正極材向けに、酸化鉄およびリン酸鉄を開発

 ランクセスは100年以上にわたる酸化鉄の製造実績を持ち、その知見を生かしてLFP正極材の合成原料として使用できる特殊酸化鉄グレードを開発。

 バッテリーメーカーのニーズに合わせて最適化した「バッテリーグレード」をすでに市場投入している。

さらに、LFPバッテリー用前駆体としてリン酸鉄も開発しており、鉄とリン酸を原料とすることで、大量の塩分を含む排水が発生する従来プロセスに比べ、環境面での優位性を持たせている。

 このほか、電解質塩向け化学品や、バッテリー原材料の処理・精製に使用するイオン交換樹脂「レバチット」、高電圧用途向け合成冷却液、難燃ソリューションなども展開。

 リサイクル分野ではブラックマス処理や金属回収、排水処理向けのプロセスケミカル、イオン交換樹脂を供給しており、原材料の加工からセル保護、使用済みバッテリーからの有価金属回収まで、バリューチェーン全体で事業を展開している。