PAGE TOP

【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、株高と供給不安で高値更新

連載 New! 2026-06-08

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=436.80円まで値上がりして年初来高値を更新する展開になった。売買テーマが定まらない不安定な地合が続いているが、東南アジアの気象環境が不安定化したことを手掛かりに、投機筋の物色意欲が強まった。中東情勢は不安定化しているが、世界的に株高環境が続いていることもポジティブだ。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万8,440元まで値上がりして年初来高値を更新した後、1万7,000元台後半まで上げ幅を削る展開になった。

 東南アジアの気象環境が不安定化している。本来であれば6月は乾季から雨季への移行が進むことで、ゴムの生産量が増えやすい時期になる。しかし、タイでは豪雨、インドネシアでは干ばつなどの天候障害が報告される中、供給不安がゴム相場を押し上げている。異常気象をもたらすエルニーニョ現象の初期兆候かは見方が割れるが、いずれにしても「季節的な増産圧力」よりも「産地天候不順による減産圧力」の織り込みが優勢になった。

 中国の5月製造業PMIは、前月の50.3から50.0まで小幅低下した。中東情勢の不安定化で輸出環境がやや悪化している。ただし、中国経済の急減速などは確認できておらず、素材市況では少なくとも短期的な中国の需要環境は良好との見方が維持された。タイヤ工場の稼働率も比較的高水準を保っているとの報告が目立ち、需要環境もゴム相場の下値を支えた。ただし、1万7,000元台前半から1万8,000元台後半まで短期間に急伸すると、需要家の在庫手当てが鈍化する動きも報告され、5月上旬と同様に1万8,000元台前半では上値の重さが目立った。

 中東情勢の不安定化で原油相場の価格水準が切り上がっているが、上海ブタジエンゴム相場の値下がり傾向は維持された。1万3,000元台後半まで値下がりし、天然ゴムとの価格差は4,000元に近づいている。しかし、ブタジエンゴム相場に対する割高感から、天然ゴム相場を下押しするような動きは見送られた。

 世界的な株高環境も、ゴム相場を下支えした。日経平均株価は過去最高値を更新しており、投資家のリスク選好性の高まりがゴム相場を押し上げている。原油高環境よりも、企業業績拡大への期待感が強く、非鉄金属や天然ゴムなどの素材市況も底堅さが目立った。

 イスラエルとレバノンの交戦を受けて、米国とイランの和平協議は停止した。このため、原油相場が反発しているが、ゴム相場に対する直接的な影響は限定された。世界経済の減速リスクを高める動きになるが、先行き不透明感が強いため、マーケット全体が消化しきれない状況が続いている。

関連記事

人気連載

  • マーケット
  • ゴム業界の常識
  • 何を創る日本の半導体企業
  • つたえること・つたわるもの
  • ベルギー
  • 気になったので聞いてみた
  • とある市場の天然ゴム先物
  • 海から考えるカーボンニュートラル