ゴム手袋産業飛躍、政府も支援へ
日本ゴムトレーディング協会、コロナ禍のタイ天然ゴム産業事情
その他 2020-09-25
日本ゴムトレーディング協会(梁取和人会長)のZOOM講演会が9月17日に行われた。
今回はタイ王国大使館のサコン・ワナセッティー一等書記官が「新型コロナウイルスのタイ天然ゴム産業への影響とその対策」をテーマにコロナ禍のタイの天然ゴム需給状況から政府の対策まで豊富なデータを使って解説した。
タイでの天然ゴム需給事情については「タイは天然ゴムの消費国でもあるが、8割から9割は海外に需要を依存している。やはり中国や欧米での需要の回復状況次第になるが、天然ゴム農家の販売価格で見れば、現在はほぼ昨年と同じレベルに戻っている」とした。
天然ゴム農園におけるタッピングの労働者事情については、新型コロナの感染拡大以前から、タイの経済発展に伴って、安価な労賃である外国人労働者に依存するところが多かったが、コロナ禍において多くの外国人労働者が帰国した。一方で、国内でコロナ禍によって職を失った労働者の雇用が進むことでタイ天然ゴム公社(RAOT)の見解としては、労働者不足は深刻にとらえてない。さらにタイ政府の第6弾規制緩和によってミャンマー、ラオス、カンボジアなどからの海外労働者の受け入れを7月末に決定しており、再入国者7万人と新規入国者4万人が確保できる見通しだ。
タイの天然ゴム産業のトピックとしては、ゴム手袋産業の飛躍がある。タイのゴム手袋はマレーシアに次いで世界第2位の輸出実績を誇り、年間輸出額は12億ドルとなっている。
新型コロナ感染拡大以前の世界のゴム手袋需要は、製造業をはじめ、医療や福祉関連部門での需要増加でおよそ3,000億枚と推測されていたが、新型コロナの影響が見え始めた今年3月の時点では3,450億枚から3,600億枚に拡大している。輸出国第1位のマレーシアの生産能力は1,250億枚だが、生産量はおよそ半分の630億枚にとどまっている。一方、タイでは年産能力250億枚に対して生産は214億枚まで生産量が上がっている。
実際、タイの最大手のゴム手袋企業は今年7月に上場企業となり資金を調達。増産投資を行い、2024年までに現在の2倍に、2032年までには4倍の規模に拡大する。
さらに政府は、タイを「世界のゴム手袋のハブ」とする政策を打ち出しており、関係各省庁において、資金調達、販路開拓や輸出拡大推進策、品質向上面で支援体制を構築してきている。
このほか、サコン一等書記官の講演は、物流から天然ゴム製品の内需向け製品の実用化など幅広い範囲にわたり、タイの天然ゴム産業の現状も紹介された。
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