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産地国などを交え「持続可能なゴムの調達」考える

日本ゴムトレーディング協会、第7回RTAJ講演会をオンライン開催

原材料 2021-10-25

あいさつするビビットゲユーンウォン駐日タイ王国大使館農務担当事務所公使参事官


 日本ゴムトレーディング協会(略称・RTAJ、梁取和人会長=横浜ゴム)主催の第7回RTAJ講演会が10月20日、オンライン形式で開催された。今回のテーマは「サステイナブル・ラバー 天然ゴム生産・加工時の臭気問題解決のための新技術」。RTAJの事業活動の一環として掲げる「持続可能なゴムの調達方針」に基づき企画された。オンライン形式を取り入れたことで、RTAJ内の企業に留まらず、会員外にも広く参加者を募った。その結果、天然ゴム最大の生産国であるタイから、タイ天然ゴム公社(Rubber Authority of Thailand=RAOT)幹部・関係者やタイ天然ゴム協会(Thai Rubber Association=TRA)関係者、天然ゴム農園関係者などが参加。参加希望者は130人を超えた。RTAJでは引き続き、天然ゴム産地国と知見の共有を目指していく。同国とパートナーシップを形成していくことで、持続可能な発展・活動に貢献していく方針だ。今回の事業活動は、ゴム業界団体が取り組むべきSDGs活動の一例と言える。今後の活動が注目される。

 天然ゴム特有の臭気は、ゴム産業の長年の課題だ。この課題に対して、住友ゴム工業は2020年3月に「臭気低減天然ゴム」の開発に成功したと発表。天然ゴム臭気を発生させる原因とプロセスを明らかにし、原材料の加工工程に独自手法を取り入れた。天然ゴムを取り巻く課題解決に取り組む同社の姿勢は大きく評価された。

講演する宮城住友ゴム工業材料企画部課長


 今回の講演会は、「臭気低減天然ゴムの研究開発~住友ゴムグループのSNR方針~」と題し、同社の宮城ゆき乃材料企画部課長がゲスト講師となり実施された。宮城氏は「天然ゴムの臭気問題は、より良い生活と環境の持続可能性のために解決する必要がある。臭気低減天然ゴムの研究は、その課題解決のために天然ゴム臭気原因を明らかにし、その低減を試みたものだ。研究の結果、天然ゴムの臭気原因物質は天然ゴム内の微生物の腐敗と過熱分解によって発生することを突き止めた。当社はタイの天然ゴム加工工場において、原材料の加工工程に独自手法を取り入れることで臭気発生原因となる原材料中のタンパク質や脂質などの分解を抑制し、大幅に臭気を抑えることに成功した」と開発までの経緯と結果について語った。

 一方で「こうした知見や技術は、タイをはじめとする天然ゴム生産国に広く知っていただきたい。特にプランテーションで作製されるカップランプでの臭気制御については、当社グループの力だけでは解決できない。天然ゴム生産国も含めたゴム業界全体で取り組むことで、社会貢献に繋げていくことが必要だと考えている」と、天然ゴム生産地と手を携え、課題解決に挑んでいきたいと呼びかけた。

 今回の講演会を開催するにあたりRTAJでは、駐日タイ王国大使館農務担当事務所の協力を得て、タイ天然ゴム公社、タイ天然ゴム協会、天然ゴム農園関係者に講演会の実施を告知。同時に天然ゴム臭気に関するアンケート調査も事前に実施した。

梁取日本ゴムトレーディング協会会長


 梁取会長は冒頭、「今回の講演会のテーマは、天然ゴムから切り離すことのできない“臭気”の問題。これはゴム産業で持続的に事業活動を続ける中で、長年悩まされている課題だ。同テーマに寄せられる関心の高さは、経済産業省製造産業局素材産業課が参加いただいていることからもご理解いただけるのではないかと考えている。今回はオンライン形式を採用したことで、東京や神戸など国内各地からご参加いただいている。さらに初めて同時通訳を採用したことで、タイやシンガポールからもご参加いただき、テーマへの関心の高さをより強く感じている。運営にはゴム報知新聞を発行するポスティコーポレーション新規事業部の協力を得て実施に繋げることができた」とあいさつ。

業界団体のSDGs活動としても期待

 引き続き、駐日タイ王国大使館農務担当事務所のソムサック・ビビットゲユーンウォン公使参事官が「タイは天然ゴムの世界最大の生産国、輸出国だ。天然ゴムの輸出高は、年間1,800億バーツ、日本円にして6,000億円となる。タイの農林水産省も生産の促進と天然ゴム農家の生活水準の向上を支援し、タイ国内にある170万世帯の天然ゴム農家がより良い生活ができるようにサポートしているところだ。

 現在、天然ゴム産業を取り巻く環境は変化に富んでいる。タイの天然ゴムもこの変化に挑戦している状況だ。

 また、タイの天然ゴム業界では、SDGs(持続可能な開発目標)にも、チャレンジの1つとして取り組んでいる。これはサプライチェーンの川上から川下まで、製品となる最終利用者、そして日本も含めて挑んでいるものと考えている。タイの天然ゴムの関係者もSDGsに対して強い意識を持ち、今後のSDGsのターゲット、開発目標を意識しなければならない。

 タイ政府では、国の経済をドライブしていく“BCGモデル”を取り入れている。Bはバイオエコノミー(バイオ経済)、Cはサーキュラーエコノミー(循環型経済)、Gはグリーンエコノミーを指す。同モデルは、SDGsと整合していると考えている」とあいさつした。

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