PAGE TOP

総勢120人を超す参加者

日本ゴムトレーディング協会、インドネシアの天然ゴムの持続性と課題をテーマに講演会 

その他 2023-02-20

 植物由来の工業材料として欠かすことができない天然ゴムの持続性については、ゴム産業はもちろん、主要需要先である自動車産業も高い関心を寄せている。

あいさつする鈴木会長


 日本ゴムトレーディング協会(略称・RTAJ、鈴木秀法会長・住友ゴム工業)は2月7日、第9回RTAJ講演会として「インドネシアの天然ゴム生産の持続性とその課題」をテーマにGAPKINDO(インドネシアゴム協会)のDrサマーリン副会長を講師に招き開催した。

ハイブリッド形式で行われた講演会の様子


 当日は東京・秋葉原のAP秋葉原カンファレンスルームをベースにハイブリッド形式で行い、RTAJ会員・賛助会員をはじめ、会員外から募った業界関係者、さらにGAPKINDOなどインドネシアからの関係者も含め総勢120人を超す参加者があり、関心の高さを示した。

 講演会は2部制で、第1部は鈴木会長が開会のあいさつをし、続いてアレックス K エディGAPKINDO会長が「日本は天然ゴムにおいて重要な貿易相手国であること。また天然ゴムの持続性を実現していくためには日本の皆さんのご協力も得たい」とあいさつ。その後DrスマーリンGAPKINDO副会長の講演に入った。

 講演では、インドネシアは世界第2位の天然ゴム生産国でその8割が輸出されている。2018年から21年にかけて生産量で14%、輸出については17%減少した。その理由として「新型コロナウイルス感染症の影響があったことと天然ゴムについては枯れ葉病の影響によるものだ」とした。

 また天然ゴムの栽培面積ではトップでありながら生産性が伴わないことについてはかねてから課題があったインドネシアだが、要因のひとつが小規模な農園が多く、天然ゴムによる収益性はほかの農産物に比べ低いため。また大規模農園は効率化や病気対策も図れるが小規模農園は対策に向けた投資が大きな負担となり、大規模農園との格差はより一層開く傾向にあることなどが課題点として示された。

 一方で、インドネシアの天然ゴムはSIR(TSNR:技術的格付けゴム)20の規格品を中心にタイヤメーカー向けに輸出し、世界の生産動向もRSS(リブド・スモーク・シート:標準的な1次加工品)からTSNR品への移行は盛んで、需要増に期待をしているとしている。

 Drサマーリン副会長はインドネシアのクラムラバー最大手企業のサステナビリティの責任者として1万5,000の小規模農園とパートナーシップ・プログラムを締結している実績を持ち、「インドネシアの天然ゴム小規模農家が健全な収益を保てるよう主要消費国の日本のゴム企業が常に関心を持ってサポートしてくれることが、環境保全も含め天然ゴムの安定した生産性や持続性に繋がる」とメッセージを残した。

 講演会の後半は、鈴木会長をはじめ石井敦理事、ゲストのWWFの古澤千明さんや会場からも活発な質問が寄せられるなど盛り上がった。

 RTAJは、事業活動のひとつに「持続可能なゴムの調達方針に貢献」を掲げており、今回インドネシアとの講演会開催はその一環となる。

 鈴木会長は「正会員・賛助会員はもちろん、ゴム産業に関わる企業が天然ゴムの持続性については新型コロナのような予想外な事象、環境、あるいは地政学的観点からも、その持続性についてもっと関心を持って取り組むべきだ。ゴム産業においてタイヤ企業はもちろん、ノンタイヤ企業も含めてゴム産業全体で天然ゴムの持続性に取り組んでいくことが必要。天然ゴムのサステナブルについては、当協会にとって重要なテーマで今後も会員各社に役立つ事業活動を行っていきたい」との意向を示した。

 また、第2部では日本側から鈴木会長、石井理事(横浜ゴム)、WWFジャパンの古澤さん、そして会場から「単位面積当たりの収穫量の改善策」や「インドネシアの天然ゴムにおいてサステナビリティが担保された認証原料としての考え方」、「持続可能な天然ゴムの実現に向けて消費国日本からの支援についての期待」などについて、インドネシア側の対応などを聞く意見の交流の場としても盛り上がりを見せた。

関連記事

人気連載

  • マーケット
  • ゴム業界の常識
  • 海から考えるカーボンニュートラル
  • つたえること・つたわるもの
  • ベルギー
  • 気になったので聞いてみた
  • とある市場の天然ゴム先物