タイヤ3社の18年12月期業績予想
17年度減益要因の原材料価格は安定、3社とも今期増益の予想
タイヤ 2018-02-20
ブリヂストン、住友ゴム工業、東洋ゴム工業のタイヤ3社の17年12月期業績が発表された。17年は3社とも増収だが減益に。タイヤ販売は堅調だったが、原材料価格の上昇に足を引っ張られた。一方、今期業績予想は、原材料価格が落ち着くことで、3社とも増益予想だ。化工品事業を手放した東洋ゴムは僅かに減収するが、2社は増収増益を見込んでいる。
営業益10.5%増予想
■ブリヂストン
売上高が3兆8,000万円で前期比4.3%増、営業利益が4,630億円で同10.5%増、経常利益が4,390億円で同9.6%増、当期純利益が3,080億円で同6.8%増と増収増益を見込む。
部門別では、タイヤが3兆1,700億円で同5%増、多角化が6,400億円で同2%増。タイヤは本数ベースで、乗用車用もトラック・バス用も同1割弱の増加。超大型建設・鉱山車両用タイヤは同20%増の予想。SUV車に多く使用される18インチ以上の乗用車用タイヤも同10%増を予想している。
営業利益については、販売数量の増加と売値の改善で1,129億円の増加を見込んでいる。販管費は440億円のマイナスとしているが、これは「事業の質を向上させるための戦略的投資によるもの」(津谷正明CEO)。
地域別では、全地域とも増収増益の予想。17年度に減益だった北米は前期比17%の営業増益を見込んでいる。「北米市場は今年もトラック・バス用タイヤの需要が好調に推移すると見ている。昨年は急速で急激な需要増加に対応しきれず、リプレイス需要を逃し減益となったが、今年は北米での生産増強や他地域からの手当てにより、充分な供給体制が整っている」(同)
欧米でタイヤ伸ばす
■住友ゴム工業(IFRS)
売上高9,100億円で前期比3.7%増、事業利益730億円で同9.0%増、当期利益480億円で同2.2%増と増収増益を見込む。
事業別では、タイヤ事業は売上高が7,850億円で同3.8%増、事業利益が650億円で同11.4%増、スポーツ事業は売上高が850億円で同4.0%増、事業利益が40億円で同8.5%減、産業品他事業は売上高が400億円で同1.1%増、事業利益が40億円で同5.4%減。
2月14日に開催された決算説明会で池田育嗣社長は「買収した英ミッチェルディーバーや米国でファルケンブランドのSUVタイヤが好調に推移していることなど、トルコや米国で実施している増産投資分の活躍の場ができてきたことが増収増益の要因として大きい。原材料価格は落ち着くとみているが、原材料価格、為替にかかわらず増収増益を目指せる形になった」と語った。
市販用タイヤの販売本数は、欧州で前年比111%、アジアで同110%など北米(同99%)を除き前年比プラスを見込んでいる。その北米についても「グッドイヤーとのアライアンスを解消した後も、グッドイヤーに対しオフテイクの生産をし、タイヤを供給していた。それが今年からなくなるためだ。ただ、私の期待は当然100%以上で、伸ばしていきたい。新車用は欧州と米国が伸びる」(池田社長)。
原材料については、17年12月期は事業利益段階で360億円のマイナス要因だったが、18年12月期は35億円のプラス要因に転じると見ている。
減収だが増益見込む
■東洋ゴム工業
売上高4,000億円で前期比1.2%減、営業利益470億円で同3.7%増、経常利益443億円で同10.3%増、当期純利益290億円で同87.4%増を見込む。昨年末に化工品事業を譲渡した影響で、売上高は減少する見通しだが、17年12月期で大きな減益要因だった原材料が18年は増益要因に転じ、販売要因でのプラスも合わせ、利益は増益を見込む。なお、化工品事業の17年12月期実績は売上高が247億1,000万円、営業利益が13億8,900万円だった。
事業別では、タイヤ事業は売上高が3,480億円で同6.4%増、営業利益が477億円で同3.6%増、自動車部品事業は売上高が514億8,900万円で同3.1%減、営業損失が7億円(前期は22億4,000万円の損失)。タイヤ事業は、将来を見据えたR&D費用や広告宣伝費といった販管費を49億円増加させる。一方、自動車部品事業は17年12月期に比べ改善するものの、営業損失が継続する見通し。「昨年7月に新たな防振ゴムの受注を受けた。その立ち上げを桑名工場と米国ケンタッキーの工場で行ったが、操業時に若干上手くいかなかった。今は受注を全てこなせるほど落ち着いてきており損失は改善するが、一部受注してきた価格以上の原価低減ができていない部分がある。その関係で赤字が残る。
自動車部品はタイヤとできるだけコラボレーションさせながら、連動する形を考えている」(清水隆史社長)。
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