産業技術総合研究所(産総研、石村和彦理事長)は、上田善弘主任研究員らの研究チームとブリヂストンが共同でタイヤゴムのケミカルリサイクル技術を開発したと発表した。室温での化学分解と、それに続く熱分解によって、イソプレンとカーボンブラック(CB)の回収に成功した。使用済みタイヤを新品タイヤの原材料に再資源化する手法の実用化につながる成果とする。両者はさらなる開発を進めて、2030年代に新技術の事業化を目指す。

 タイヤゴムは、ポリマーやCB、酸化防止剤など多数の成分を配合した材料を加硫して硫黄架橋するという複雑な構造になっている。このため、従来は元の原料や純粋な化成品に分解・回収することが難しく、リサイクルでは熱エネルギー源として利用するサーマルリサイクルが一般的だった。

 こうした中、産総研とブリヂストンは、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)社会の実現や資源の有効活用に貢献する技術の一つとして、新たなリサイクル手法の開発に乗り出した。

 今回の開発では、まずタイヤゴムに触媒と溶媒を添加して室温付近で撹拌すると化学的な分解反応が進行し、架橋したポリイソプレンゴムが液状に変化するため、固体成分のまま残るCBと容易に分離できることをつかんだ。さらにこの化学分解過程では、イソプレンが元の骨格を保持したまま分子鎖が短くなるため、液状ポリマーを熱分解することでイソプレンモノマーを主成分とするタイヤ原料を回収できることが分かった。

同時に化学分解の反応生成物の詳細な解析を通し、分子鎖が短くなる反応機構も明らかにした。実験に使用したゴム材料に限らず、実際の使用済みタイヤから回収したゴムの化学分解に適用可能なことも確認した。
今後は、ブタジエンゴムなどの再資源化への応用も検討していく。