【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海ゴムが突然の急伸に
連載 2017-08-21
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=210円台中盤まで値上がりする展開になった。上海ゴム相場が改めて急伸地合を形成したことが好感され、東京ゴム相場もつれ高している。北朝鮮情勢の緊迫化を受けての円高圧力はネガティブだが、概ね上海ゴム相場と連動する形で上値追いの展開に回帰している。
上海ゴム相場は月初から1トン=1万5,000元の節目水準に辛うじてサポートされる展開が続いていたが、ここにきて1万6,000元台を回復するなど、急伸地合を形成している。
天然ゴム需給環境に関してはむしろネガティブ材料の方が目立つ状況だが、鉄鉱石や石炭、銅など中国コモディティ市場における他の素材市況が軒並み強含みで推移する中、割安感・出遅れ感の強くなっていた上海ゴム相場に対しても投機筋の物色意欲が強まった。
もっぱら投機主導の値動きになっているため、必ずしも地合が強いとは言えない。7月の中国貿易統計では輸出と輸入がともに市場予測を下回っており、コモディティ需要環境に対してはむしろ逆風が目立つ状況にある。
ただ、鋼材需給の歪みなどから鉄鉱石価格主導で中国コモディティ価格は急伸しており、この流れが維持されている間は、上海ゴム相場も底固い展開が続き易い。
今年の中国コモディティ市場は、個別需給動向よりもマクロな投資環境に強く依存する傾向がみられるが、現在は中国コモディティ市場全体に追い風が吹いている。需給動向を無視したこうした値動きの持続性については懐疑的な見方も強いが、バブル的な価格形成が行われているだけに中国当局の金融引き締めなどが行われるまでは、更に急伸地合が続く可能性も想定しておく必要がある。
産地供給環境は安定している。熱帯低気圧がタイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、インドネシアなどに降雨をもたらしている。一部では洪水被害の発生も報告されているが、局地的なものに留まっており、全体としては天然ゴムの集荷量は上振れ傾向を見せている。
タイ中央ゴム市場の集荷量も今季最高水準を維持している。ただ、産地相場ももっぱら上海ゴム相場の写真相場と化しており、産地需給環境はほとんど材料視されない時間帯が続いている。
今後も上海ゴム相場主導の展開が続くことになるが、特に鉄鉱石相場が鎮静化するまでは、天然ゴム相場も意味なく急伸する可能性が残る。需給の論理、もしくは当局のバブル抑制などが鉄鉱石相場を鎮静化させるまでは、需給動向と関係なく上値を切り上げる可能性がある。
(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
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