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通期業績は上方修正に

タイヤ4社第2四半期、原材料価格高騰が響く

タイヤ 2017-08-21


 タイヤ4社の17年12月期第2四半期業績が出揃った。各社とも堅調なタイヤ販売により売上高は増加したが、原材料価格高騰の影響を受け利益が減少した。しかし現状の原材料価格は期初に想定していた水準を下回り、販売好調や為替影響等により、4社とも通期業績予想を上方修正した。原料高を背景に打ち出したタイヤ値上げも下期には利いてくると予想している。

 第2四半期の業績を見ると、各社とも原材料価格高騰の影響は深刻だ。

 ブリヂストンは、営業利益段階で原材料によるマイナスが680億円に膨らみ、売値MIX数量他で651億円プラスしたがカバーし切れず減益となった。

 住友ゴム工業は、事業利益(売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出)段階で原材料によるマイナスが221億円に達した。このため売上高は2ケタ増だったが、事業利益、営業利益とも3割近い減少となった。

 横浜ゴムは、営業利益段階で原材料価格高騰によるマイナスが84億円となった。しかし同社は、アライアンスタイヤグループの買収で同社の営業利益52億円が加わったことにより増益を確保した。

 東洋ゴム工業は「期初予想以上の原材料高騰」(清水隆史社長)により、原材料で89億円のマイナスとなり営業利益が減少した。

 原材料のマイナス影響を通期で見るとブリヂストンは1,260億円、住友ゴム工業が349億円、横浜ゴムが166億円、東洋ゴム工業が146億円と予想しており、業績に与える影響は依然として深刻だが、一方で販売が好調に推移していること、製品構成の良化、値上げの浸透、為替の円安傾向などを背景に、タイヤ4社全てが通期業績予想を上方修正した。

 ブリヂストンは原材料1,260億円の減益要因に対し、売値MIX数量他で1,744億円、為替で80億円増益すると見込んでいる。「収益性が高いORタイヤの販売が好調なうえ、売値改善が利いてくる」(江藤彰洋執行役副社長)という。

 住友ゴム工業は原材料で349億円の減益要因に対し、価格で111億円、数量・構成他で165億円、為替で12億円の増益要因を見込む。「米国では生産が追い付かないほどSUV用タイヤが伸びている。原材料価格についても、これ以上、上がりも下がりもしないとみている。期待するほど下落していないが、年内は今のレベルで推移するのではないか」(池田育嗣社長)。

 横浜ゴムは原材料で166億円の減益要因に対し、価格/MIXで113億円、販売量で36億円、為替で22億円の増益要因を見込む。「上期は値上げによる業績への影響は正直なところ、それほど想定していなかったが、下期は値上げが利いてくるだろう」(山石昌孝社長)。

 東洋ゴム工業は原材料で146億円の減益要因に対し、販売要因で122億円、為替で19億円の増益を見込む。「品種構成の最適化と販売数量の拡大、価格戦略といった販売面での寄与に加え、為替環境の良化による円安メリットの享受などにより、期初予想に対し30億円の増益となる」(清水隆史社長)。

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