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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、円安で3カ月ぶりの高値

連載 2025-11-17

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=320円台前半まで値上がりし、7月29日以来の高値を更新する展開になった。上海ゴム相場がじり高の展開になったこと、為替が円安に振れたことが好感されている。過去最長となった米政府機関閉鎖の解消見通しが強くなったこともあり、投資家のリスク選好性が高まった。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万5,000元台前半でじり高の展開になった。11月入りした直後は1万5,000元の節目を割り込んでいたが、改めて押し目を買い拾われており、ボックス相場内での反発になっている。

 中国汽車工業協会によると、10月の中国新車販売台数は前年同月比8.8%増の332万2,000台となった。電気自動車(EV)など新エネルギー車の販売割合が51.6%と初めて5割を超えている。1~10月累計では前年同期比12.4%増の2,768万7,000台であり、中国汽車工業協会は年間3,400万台を超える見通しを示している。

 政府が新型車への買い替えを支援する補助金制度を設けており、新エネルギー車の補助金額が大きいことが、EVの販売を後押ししている。一方で、補助金は徐々に終了・縮小に向かっており、それと連動して自動車販売は鈍化傾向にある。中国国内市場の競争激化で輸出シフトを強化するメーカーも目立つ。結果的に、ゴム相場に対する影響は限定的だった。

 10月30日の米中首脳会談後に両国関係の改善が促され始めていること、過去最長となった米政府機関閉鎖の解消見通しが立ったことは、リスク投資環境にポジティブ。世界的に株価は堅調に推移している。このため、ゴム相場も下値を支えられているが、コモディティ市場の値動きは全般的に鈍く、上海ゴム相場も大きな値動きには発展しなかった。

 ただし、逆に需給緩和見通しの織り込みで値を崩した原油相場につれ安することもなく、明確な売買テーマを設定できない相場環境が続いている。上海ゴム相場は短い間隔で上昇と下落を繰り返し、結果的に8月以降は1万5,000元台をコアとしたボックス相場が続いている。

 こうした中、OSEゴム相場を押し上げる原動力になったのが円安だ。リスクオン環境そのものに対するゴム相場の反応は鈍かったが、投資家のリスク選好性の高まりが為替市場で円安・ドル高を促すと、円建てゴム相場は上昇している。一時は1ドル=155.00円を上抜き、2月以来の円安・ドル高環境になった。

 供給サイドの動向はあまり材料視されていない。フィリピンからベトナムにかけて台風が通過したが、リスクプレミアム加算は見送られた。

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