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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、260円台で方向性を探る

連載 2022-04-18

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=260円台前半をコアに揉み合う展開になった。4月4日の275.10円をピークに7日の255.80円まで急反落したが、その後は下げ一服ながらも本格的な反発を見送る中途半端な値動きになっている。円安環境が続いていることが下値を支えるが、産地相場と上海ゴム相場は方向性の把握が難しい展開になり、JPXゴム相場も動意を欠いた。260円台前半で次の方向性を模索する展開になっている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元台前半から中盤でやや上値の重い展開になった。

 中国では新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しており、上海市は予定されていた期間でロックダウン(都市封鎖)を終了できなかった。一部地域ではロックダウンが解除されているが、「ゼロ・コロナ」政策の限界も指摘されており、先行き不透明感は強い。中国の3月貿易収支では、輸出が前年同月比14.7%増となったが、輸入は同0.1%減と予想外のマイナスになっている。ウクライナ危機でも世界経済は着実に成長したが、中国に関しては新型コロナの影響で内需が大きく落ち込んでいる可能性が示されている。一方で、習近平政権は「ゼロ・コロナ」政策を継続するために大規模な景気対策を打ち出すとの観測もあり、上海ゴム相場は上値が重いながらも大きな値崩れは回避する中途半端な値動きになった。

 ウクライナ情勢に関しては、目立った進展は見られない。依然として停戦合意の成立見通しは立たず、特にロシア産エネルギーの調達を断ち切ろうとしている欧州経済へのダメージが強く警戒されている。ただ、タイヤ需要の大幅な下振れリスクを織り込むような動きまでは見られなかった。

 一方、産地相場には上げ一服感が浮上している。タイ中央ゴム市場では3月と比較して4月の集荷量が若干上向いているためだ。4月12日時点の現物相場は、USSが前週比0.9%高の69.66バーツ、RSSが同4.5%安の71.97バーツ。RSSが急騰一服後の調整局面入りしている。ただ、13~15日はソンクラン(水掛け祭り)のため休場となり、産地からの情報発信は乏しかった。JPXゴム相場も薄商いの持高調整中心の展開が目立った。例年だと本格的な減産期明けは5月以降になるが、このまま減産期型の急騰地合が一服して調整局面に移行するのか、単純なスピード調整に留まり上昇を再開するのかが焦点になる。

 為替市場で日米金融政策環境の違いを背景とした円安・ドル高環境が維持されていることは、引き続きポジティブ材料視されている。

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