【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、産地高で4週間ぶりの高値
連載 2022-04-04
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=250円台後半まで値上がりする展開になった。上海ゴム相場が下げ一服となる一方、産地相場の堅調地合が続くなか、押し目買い優勢の地合が維持されている。為替市場では急激な円安傾向に一服感がみられたが、4週間ぶりの高値を更新している。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元台後半まで値上がりしている。中国では新型コロナウイルスの感染被害が拡大しており、香港、深セン市に続いて上海市でもロックダウンが導入された。中国は「ゼロ・コロナ」政策を維持している数少ない国であり、感染被害が拡大するとロックダウンによって強制的に経済活動を止めることになる。ただ、マーケットでは新型コロナウイルスへの対応で大型景気対策が打ち出されるとの期待感もあり、逆に中国の資源需要環境に対してはポジティブとの見方もある。特に鉄鉱石相場が高騰しており、ゴム相場も下支えされた。
引き続き、産地相場は堅調に推移している。タイ中央ゴム市場では3月31日時点で、USSが前週比1.1%高の1キロ=65.34バーツ、RSSが同3.3%高の71.95バーツとなっている。減産期で集荷量が抑制されるなか、産地相場は素直に上値追いの展開になっている。特にRSSは連日のように年初来高値を更新しており、消費地相場も下支えした。
例年と比較して特別厳しい乾季を迎えている訳ではなく、3月下旬に入ってからは一部生産地でまとまった降雨も観測されている。ただ、乾季で土壌水分が抑制された状態に変化はみられず、低集荷環境を背景に産地相場は上昇地合を維持している。
一方、為替市場では急激な円安傾向が一服している。週明け直後の3月28日には1ドル125.10円と2015年8月以来の円安・ドル高水準に達したが、その後は持ち高調整が優勢になり、122円水準まで下押しされている。日米の金融政策環境は引き続き円安・ドル高傾向を支持しているが、改めて円安圧力が強まるか否かも円建てゴム相場にとっては重要なテーマになっている。
ウクライナ情勢のリスク評価は安定していない。3月29日から改めてウクライナとロシアとの間で停戦協議が行われたが、先行きに対しては悲観と楽観とが交錯している。原油相場を筆頭にコモディティ市場全体が極端な乱高下をみせているが、ゴム相場に対しては目立った影響は認められない。
ウクライナ情勢の進展状況よりも、上海ゴム相場と産地相場の堅調地合が続くのか、円安再開がみられるのかが重視されよう。
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