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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、2022年のゴム相場を見通す

連載 2022-01-10

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 2022年のJPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、底固い展開が想定される。年間平均価格は2020年の1キロ=183円に対して2021年は234円になったが、2022年は220~260円水準をコアレンジに200円台後半を打診する場面もあろう。

 2020年はパンデミックの影響でタイヤ用ゴム需要環境にも大きな混乱が生じたが、2021年は自動車販売の回復、外出抑制の解消を受けてタイヤ需要の急増が期待されていた。実際に年初からはタイヤ需要が堅調との評価から、ゴム相場は一時292.90円まで急伸していた。

 しかし、年中盤から後半にかけては半導体不足などサプライチェーンの混乱から自動車生産・販売が落ち込み、それと連動して新車用タイヤ販売環境の悪化から、一時200円台を割り込む展開になっていた。買い替え用タイヤ需要は一貫して底固かったが、新車用タイヤ需要のショックは大きく、ゴム相場は伸び悩んだ。

 一方で、2021年末にかけては半導体供給不足の問題が解消に向かっているとの見方が強まり、実際にこの流れで新車販売環境が改善し、経済正常化でタイヤ消費が順調に拡大していけば、2022年ゴム相場は改めて200円の節目を大きく割り込むようなリスクが限定され、底固さを見せることになろう。

 足元で「オミクロン株」の感染被害が猛威を奮うなど、先行きに不透明感が強いマーケット環境が続くことになるが、自動車生産・販売環境が正常化に向かうとの前提条件に立てば、ゴム相場の下値は固い。

 一方、供給サイドでは過去2年にわたってラニーニャ現象が発生し、生産環境にも混乱が見られた。近年は異常気象が頻発しているだけに、主産地の東南アジアで気候変動問題が深刻化すると、相場が吹き上げる可能性もあろう。

 また、パンデミック発生後は東南アジアの農業部門全体で労働力不足の問題が深刻化している。パーム油やコーヒーなどの生産現場でも労働力不足の影響が報告されており、2022年中も生産地で新たなパンデミックが発生すると、突発的な供給障害が発生する可能性も想定しておく必要がある。

 また、農業セクター全体で肥料価格の高騰が問題視されている。投入コストの増大、もしくは肥料投資の抑制が求められるが、いずれにしてもゴム価格の下支えになろう。農産物価格全体の水準が大きく切り上がっており、ゴムに関しても肥料価格高騰にどのように対応するのか難しい問題を抱えている。需要は堅調な伸びが想定される一方、供給サイドは多くの不確実性を抱えている。安定供給が実現すれば200円台中盤での高止まりに留まるが、急騰のリスクを抱えた状態にあることには注意したい。

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