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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、新型コロナ警戒も横ばい

連載 2020-06-29

(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=150円台後半で横ばいの展開になった。新型コロナウイルスの「第2波」に対する警戒感が上値を圧迫するも、本格的なリスクオフ化が回避される中、週を通じて狭いレンジでの持高調整に終始している。出来高も低迷しており、先行き不透明感から売買見送りムードが目立った。

 上海ゴム先物相場も、1トン=1万元台前半での小動きに終始している。上下ともに決定打を欠いており、ほとんど目立った値動きはみられなかった。

 新型コロナウイルスの感染被害は改めて広がりを見せており、経済活動正常化の難しさが再確認されている。地域間の格差が大きいが、米国では南部から西部にかけての州で、新規感染者数が急増している。これを受けて、ニューヨーク州などが感染率の高い地域からの移動制限を導入しており、先行き不透明感が強くなっている。

 米政府は、ロックダウンで経済活動を改めて停止させることには否定的だが、自動車販売店や自動車工場などにも影響が生じると、ゴム相場の下振れリスクも高まる。一方で、経済活動が正常化に向かうプロセスにおける一時的な状況に留まるのであれば、ゴム相場も一時的な調整安の有無の視点に留まる。

 マーケット全体がこの問題に結論を出せておらず、原油、金属、株式相場なども方向性を欠いている。新型コロナウイルス「第2波」のリスクをどのように評価するのか、7月に向けて不安定な地合が続きやすい。

 各国の経済指標では、6月の製造業PMIは米国が前月の39.8に対して49.6、欧州が同39.4に対して46.9となっており、経済環境は正常化に向かっている。この流れを7月に向けて維持できるか否か、マーケットが判断を下しかねているのが現状である。

 産地集荷環境には、前週に続いて目立った変化はみられない。乾燥気味の天候、病害の発生、新型コロナウイルス対策、需要低迷など様々な要因が指摘されているが、集荷量は極端な低迷状態が続いている。6月25日時点のタイ中央ゴム市場現物相場は、USSが前週比0.8%高の1キロ=39.44バーツ、RSSが同0.4%高の43.36バーツ。産地相場にも特段の変化はみられない。もっぱら消費地相場主導の展開になっており、需要が着実な回復傾向を維持するのか、それとも再び大きな落ち込みを強いられるのか、新型コロナウイルスの感染状況を眺めながらの不安定な地合が続きやすい。

 なお、6月限の納会値は135.10円であり、5月限の135.60円から0.50円下落した。これで納会値の下落は4カ月連続になる。

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