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気まぐれシリーズ「気になったので聞いてみた」③

合成ゴムプラントの年末年始

連載 2016-11-25

 今日聞いて、明日には忘れてしまうようなことを真面目に取材する、気まぐれシリーズ「気になったので聞いてみた」。今回は合成ゴムプラントの話です。

 突然ですが、皆さんは合成ゴムプラントの稼働が止まる時期をご存知でしょうか。ゴム関連企業の工場の中には、自動車メーカーのラインが止まる時期であるゴールデンウィークやお盆、年末年始にラインを止めるという所も少なくないと思います。ゴム製品が最も多く使用されているのが、自動車関連だからです。

 でも、合成ゴムプラントは違います。合成ゴムプラントは、基本的に1年に1回や2年に1回といった決まった時期に、定期修理(定修)というものを行います。これは法律で定められており、本格的なものでは1カ月ほど(時期は様々)プラントを停止します。また、合成ゴムプラントは、止めるのにも動かすのにも日数を要します。1週間程度の休みでは、「停める作業、動かす作業、ハイ休み終了!」。結果として、「1日も休んでないぞ」というジョークになってしまいます。ゴールデンウィークやお盆、年末年始にもジャンジャンバリバリ稼働し、定修期間以外は24時間運転を続けています。

 ただ、そこで気になることが。年末年始に稼働を続けているのなら、年を跨ぐ瞬間はどう過ごすのでしょうか。何がHappyなのかはさておき、世間のように「A Happy New Year!」的な声が上がったりするのでしょうか。気になったので「当事者」に聞いてみました。

「仕事中ですからね、それはないです。静かなものですよ」と答えてくれたのは、ある合成ゴムメーカーの方。

 うーん、そう言われるとそうですね。聞いてすみません。安全運転第一に、粛々と稼働をされているようです。

「でも、年末年始は特別手当が出ますから、ちょっと嬉しいですね」

 その時期に暇な若手は、率先してシフトに入り儲けるといったことがあったとか。家で寝てるよりは金。非常によく分かります。

「ただ、本当は定修とはいえ、止めたくはないのですけどね・・・」

 その方によると、プラント関連の事故が最も多いのが止める時と動かす時。非定常運転と呼ばれる時です。航空機の事故で最も多いのが、離着陸時なのと同じです。「法律で決まっているから、仕方ないのですが」と担当者。

 当初のくだらない質問から、こんなにリアルな事情にまで話が膨らむとは・・・。聞いてみるものですね。

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