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【The Long Interview】

新しい人事制度へ移行したブリヂストンが目指すものとは

ラバーインダストリー 2021-04-19

 ブリヂストンは1月から、経営執行体制を変更するとともに、新しい人事制度へと移行した。経営執行体制・組織を刷新するにあたっては組織階層をシンプルにし、執行役員制度を廃止する一方、スペシャリスト職を新設。人事制度改革では現行のメンバーシップ型にジョブ型コンセプトを一部導入した、ブリヂストン流のハイブリッド型制度に移行するとともに、年功序列型の評価、報酬制度を廃止した。改革に至った理由や新たな制度が目指すものについて、竹内昌之人事戦略企画部長、加藤寛人事報酬企画・管理課長に聞いた。

竹内昌之人事戦略企画部長(左)、加藤寛人事報酬企画・管理課長

ジョブ型コンセプトを一部導入し独自のハイブリッド型へ

 ■人事制度改革によりハイブリッド型を導入した背景
 当社はこれまでタイヤの製造・販売を中心に事業を継続してきたが、昨年発表した中長期事業戦略が示す新たな方向性を踏まえた時、現行の人事制度のままで果たして良いのかという振り返りがあった。

 現行の人事制度には年功序列や一律的な制度が残り、役割や責任、評価基準の曖昧さに加え、意思決定のスピードや組織の肥大化、非効率さが課題となっており、これらを見直す必要があった。そのため、役割や責任を明確にし、それに相応しい人を配置することで業務を進めていくというジョブ型のコンセプトを導入するに至った。ジョブ型のコンセプトは、まず経営層(常務役員)や幹部層(統括部門長、部門長)、成長事業や探索事業の管理層(部長、課長)に対し導入する。役割や責任を明確化するとともに、処遇についても変更していく。

 ジョブ型を導入する一方で、現物現場を重要視する人材育成や創業者の精神、DNAをしっかりと継承するという観点で見れば、従来のメンバーシップ型にも良さはある。また、役割を明確にしていくことによる人財配置の硬直化は避けたいし、これまでの人事制度の良さを活かしながら、コアビジネスを安定的に動かす必要もあると考えた。そのため、役割や責任は明確にするが、早急に全てをジョブ型に塗り替える必要はないと判断し、まずハイブリッド型を選択した。

 ■ジョブ型コンセプトの拡大について
 経営層や幹部層、成長事業や探索事業の管理層から段階的にジョブ型を導入し、2023年までにコア事業を含めた管理層以上を対象に導入する。これを第一ステップと考えている。

 2023年以降については、検討を進めた上で段階的に一般層にも拡大していく考えだ。一般層の中でも、際立って個人の能力を発揮していく人たちや仕事があると思う。将来的には部分的でもジョブ型と認定し、役割や目標に対しアウトプットを出してもらい、会社としてもそれに報いていくという仕組みを入れていきたいと考えている。

 生産現場については、各々の仕事の難易度がすでにグレード分けされており、それに報酬が紐づいている。ジョブ型のエッセンスはすでに含まれており、あえてこれからジョブ型ということではないと思う。

(次ページ 一般層の定期昇給制度を廃止)

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