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【The Long Interview】

新しい人事制度へ移行したブリヂストンが目指すものとは

ラバーインダストリー 2021-04-19

人財のポートフォリオを見える化へ

 ■新卒に職種別採用を導入
 2022年度定期採用活動から職種別採用を導入する。これまで学んできたことを活かせるポジションや仕事への配属が確約されているということは、学生の入社意欲を掻き立て、入社後の仕事へのモチベーション向上にも繋がると考えている。

 職種別採用によって、入社前と入社後の仕事に対するギャップは減ることになる。本人の意欲に対し会社が応えることで、希望が叶えられる形となるので、離職率の減少には大きな効果があると思う。モチベーションの高い状態で入社し、仕事がマッチすれば大きな成果にも繋がる。学生にとっても会社にとってもウインウインの関係になると考えている。

 長期に人を育成していくという観点で個々の総合力を判断し、まず入社してもらい実際の仕事のアウトプットを見ながらどこが本人にとっての適正なのか、キャリア形成を一緒に考えていくという従来の日本の採用方針にも良さはある。一方で、欧米のように今持っている能力を即発揮してもらいたいという考え方もあるだろう。ビジネス環境がこれだけ激変する中で、早期にアウトプットを出してもらう人財を求めていく過程では、職種を明確にしていくことが必要だ。

 入社し、その仕事やポジションに就いて、描いていたイメージと違うと感じたり、別の仕事をしてみたいと思うこともあるだろう。そのような場合は、異動するなり、キャリアを変えるなり、柔軟に対応する必要があると考えている。

 当社は、人財を求める部署が募集職種を社員に公開し、応募者から選抜する社内公募制度や社員自らが能力や強み、実績を人事データベースに登録し、高度な専門性やスキル、知見を有する人財を必要とする部署のニーズと符合させるジョブマッチング制度など、自らの意志でキャリアを選択できるチャンスを設けている。会社が人を動かすだけではなく、本人の希望で変わることができるという機会を作っていくことが、様々な人財を受け入れていく上で必要なことだと思う。会社が常に人の配置を考えるという一方通行ではなく、本人とコミュニケーションをとり、本人の希望を踏まえながら変えていくのが、より柔軟な人の配置だろう。

 ■社内公募制度、ジョブマッチング制度
 ジョブマッチング制度はまだ開始したばかりだが、社内公募制度については年2回実施し、毎回数十人の異動が成立しており、社内に浸透していると思う。この機会はもっと増やしていきたい。今後は、例えば管理職に昇進していく際には、オープンポスティングという形で自ら立候補する制度の仕組みも入れていく。

 社内公募制度、ジョブマッチング制度、オープンポスティングを三本柱に、自律的なキャリア形成を従業員に考えてもらうことになる。

 ■ダイバーシティ&インクルージョン
 ダイバーシティ&インクルージョンには継続的に取り組んできており、多様性や人権への取り組みをきちんと進めていくことは、企業としての社会的な責任と考えている。

 現状の大きな課題は、女性の管理職比率だ。グローバルで見ると、例えば米国は女性の管理職比率が高いが、一方で国、地域によって差がある。国内は単体の全従業員に占める女性の割合は9.0%だが、管理職に占める女性の割合は2.4%だ。まずは管理職に占める女性の割合は7.5%を目指している。

 ■この人事制度改革で今後取り組むこと
 人財要件は決定したが、適財適所を担保していく上では、社内のどこにどのような人財がいて、どのような能力を有しているかということを会社としては把握しなければならない。ただ、残念ながらまだ把握しきれていないのが現状だ。現状では、「こういう仕事にはあの人が向いているかもしれない」といった社内的なネットワークの中で人財を把握しているケースも多く、どこにどんな人がどんな能力を持っているのかという、人財のポートフォリオをしっかりと見える化していかなければならない。人財のポートフォリオを見える化することは、最適な人財を配置していく上での基盤になると考えている。

 これまで人事は、どちらかと言うと一貫性を大事にしすぎた部分があると思う。ビジネス環境が変化する中で、同じ仕組みを同じ形でずっと運営していくのは適さない時代になってきた。そこは人事としても真摯に反省しながら、何が最適なのかを考え、変えていく必要がある。

 また、制度に対する社内の理解や浸透も図っていく必要がある。制度を開始したばかりなので、従業員に理解や浸透が進んでいるかというと、まだまだだ。最近では、人事や組織戦略を変革していくというメッセージを経営トップ自ら発信しており、従業員へも本気度が伝わっていると思う。制度に対する理解や浸透に向けた仕掛けを継続していかなければならないだろう。

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