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【シリーズ】SUSTAINABLE & RUBBER

亜木津工業:コミュニケーションデザイン課、”金型いらず”のゴム・プラスチックの切削加工をPR

その他 2023-06-26

 亜木津工業(本社・大阪府)は、工業用品を扱う商社としての機能も併せ持つゴム・プラスチック加工メーカーだ。従来のゴム・プラスチック製品の切削加工に加え、2023年から新たに3Dソリューション事業をスタート。両事業を掛け合わせることで、会社全体が新たな段階へ進もうとしている。そんな同社の広報活動を担い、産官学連携の架け橋も目指すのがコミュニケーションデザイン課だ。サステナブルな事業展開の推進に向け、一翼を担う。

東京ビッグサイトで開催された「第28回機械要素技術展」での展示ブース

技術力をカタチに潜在的ニーズを引き出す

 ■ニーズにワンストップで応えられるメーカーとして
 1978年に創業した亜木津工業は、40年以上にわたりゴム・プラスチック製品、ガスケットの製造・販売を行ってきた。創業当初は、ゴムの切削加工品を協力会社から購入し、販売するという体制だった。だが顧客のニーズと短納期に応えるため、自社によるゴムの立体加工を開始。さらに2013年からは、ゴムのみでなく、プラスチックの立体加工品の自社加工もスタートした。

本社・大阪支社の新社屋


ゴムの立体加工品


3Dプリンターによる立体加工品


 同社が得意とするのは、“金型いらず”のゴム・プラスチックの切削加工。柔軟で削りにくいとされる素材でも、美しく高い精度を出せる技術力を誇る。扱う製品のほとんどはオーダーメイド。切削加工のため、小ロットへの対応が容易だ。

 2023年1月からは、3Dソリューション事業が始動。新たに3Dプリンターと3Dスキャナーを導入した。従来の機械加工と掛け合わせることで、開発段階の試作から量産まで、モノづくりの幅広い支援が可能になった。製品開発のフェーズは、①3Dスキャンによって現物からデータ化するリバースエンジニアリング②3Dプリンターを活用した開発・試作③ゴム・プラスチックの切削加工による実装材料での試作~量産④三次元測定機での高精度な計測・評価という流れになる。

 「3Dスキャナーの導入により、例えば現物しか情報がない古い機械の部品も、3Dデータ化することができる。そのため、同じ形状のものを忠実に複製することが可能だ。当社はゴム加工を生業にしていることもあり、ゴムライク材料での造形ができる3Dプリンターも所有している」(亜木津工業)

 同社は、①ゴム加工②プラスチック加工③3Dソリューション事業④スポンジ加工⑤クリンガー製品--の5事業によって、顧客のニーズにワンストップで応えられるメーカーとしての成長を続けていく方針だ。

 ■コミュニケーションデザイン課の誕生
 “金型いらず”のゴム・プラスチックの切削加工で、高い技術力と経験値を持つ亜木津工業。2020年10月、そんな同社の認知度を向上するための広報活動を目的に設立されたのが、コミュニケーションデザイン課だ。

 2021年1月には、本社・大阪支店の新社屋が開設。様々な面で会社全体が積極的にアップデートし始め、社内全体が次なる飛躍へ向けた過渡期に同課は誕生した。

 同課発足前は、「主に営業部が展示会出展など広報的なことも担っていたが、正直なところ、日々の業務に忙殺され、並行して注力できる状態ではなかった」(同)という。当初はマーケティング推進部という名前で発足されたが、「展示会への出展を中心に、SNSの配信や社内報、社内コンテストの発足・運営など、社内外でのコミュニケーション活動が中心となっている。活動内容に合わせ、2022年10月から名称を変更した」(同)。

 ■技術力の認知度向上のために展示会出展へ注力
 今後、同課は会社を持続していくためにも、より同社の強み--ゴム・プラスチック製品の切削加工技術や3Dソリューション事業--をアピールすることに力を入れていく。特に、“ゴムを削る技術”については、その希少性も強みに感じている。

 「実際に同課発足後に初めて展示会に出展した際、ゴムを削る技術への反応が大変好感触だった。あくまでも感覚的な話だが、来場者の100人中98人は“ゴムが削れる”ということを知らなかった。展示会の経験を通して、当社のゴム・プラスチックの切削加工は大きな強みであると再認識できた。まだまだ当社にできることはある、と自信に繋がっている」(同)

 今後の展開としては、「今期(2022年10月~)からは、展示会出展により力を入れていく。当社の強みと技術力がより良く伝わるブースづくりを目指し、展示内容についてもブラッシュアップし続ける。わかりやすく洗練されたものにしていきたい。当社の技術力を形にしたものを実際に見てもらうことで、潜在的なニーズを引き出していくことが最大の目的の一つだ。営業部とも連携しながら、展示会で生まれた縁を活かしていけたらと考えている」(同)。

 「これから先も、ゴムは必要とされ、なくなるモノではない」(同)と話した同社。ゴム素材の可能性を信じながらも、それだけに捉われず柔らかい素材をカタチにする企業として、サステナブルな事業展開も推進していく。

亜木津工業コミュニケーションデザイン課:㊨椎名大輔課長、㊧藤本義之氏


 ゴム報知新聞版「SUSTAINABLE & RUBBER」は、ゴム業界に関連する国や団体、企業などによる「持続可能な社会の実現」に向けた活動に焦点を当てるシリーズです。なお、弊社ポスティコーポレーション発刊のムック本「SUSTAINABLE & RUBBER」(2022)の掲載内容とは異なります。

 ポスティコーポレーション発刊のムック本「SUSTAINABLE & RUBBER」(2022)の詳細はhttps://gomuhouchi.com/other/49351/まで。

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