創業53年、ゴム製品製造業2代目の挑戦
若松パッキング×北川鉄工所、ウォータージェットを初導入した若松パッキング
工業用品 2023-06-26
若松パッキング(本社=福岡県北九州市若松区)は、1970年9月の創業以来、①洋上風力発電など海洋構造物および海洋構造物シール材の設計・製作・施工②橋梁用緩衝ゴム製品製造③配電盤部品の製作――の3分野を主要事業として展開している。同社が加工した製品は、地元商社や地場産業の造船関連企業をはじめ、都営大江戸線六本木駅のセグメントシール材、明石海峡大橋、東京臨海道路、さらにはサハリン2プロジェクトなど国内外の様々な箇所で採用され、暮らしを支えている。
■若松パッキングの事業について
2代目となる有延裕一社長は、昨年春に北川鉄工所(広島県府中市)製の「ウォーターカッターAPLC」を導入し加工精度や製造効率のアップに取り組んでいる。そこで若松パッキングの有延社長に話を聞いた。
「インフラ関連製品の素材としては、厳密な安全率の計算に基づき、設置環境に最適な素材を選定しており、天然・合成ゴム、スポンジ、プラスチックなどを主に使用している。これらを所定形状に加工する際には、厳密な歪誤差の許容範囲内に収めることや高度な水密性といった面から、高い加工精度が要求される。
従来の加工方法では、厚さ20ミリ超のゴム板や厚さ10ミリ超のウレタンゴムの切断時、小口径のR切断時、さらに厚物のコーナーエッジ加工時の切り込み過ぎ、オペレーター個々による精度バラツキといった支障が発生するケースもあり、許容範囲内に収まるものの加工精度に課題があった。さらに、切断時には加工対象物には横方向に引っ張る力など負荷が掛かり移動してしまうため、それを防ぐのも課題だった」
■ウォータージェット導入の効果は
「これら様々な課題解決に取り組んでいた頃に、北川鉄工所から安価なウォータージェットと、補助金制度を紹介して戴いた。コスト面を含め、当社の製品や事業などに適していると判断し、導入に踏み切った。
導入により、今までは加工が困難で外注に依存するしかなかった物が、自社で加工可能となった効果は非常に大きい。一番重宝したのは、厚さ15ミリのゴムの上に厚さ20ミリのスポンジを貼り、その部材に直径50ミリの穴を400箇所一体物で穴開け加工できたこと。従来はそれぞれの部材に穴を開けて、穴位置を合わせながら張り合わせていたが、一体物として重ね切りすることで完成品にブレがなく、綺麗に仕上がり作業時間も大幅に短縮できる。さらに凹凸のあるゴムの切断の際に、凹凸に影響されずに直線をスムーズに切断できたことには感動した。
また、レシプロ式プロッターを使う際には、加工材料を巻き込まないよう常に機械の確認が必要だが、ウォータージェットでは加工材料に負荷が掛からないため、固定の必要もなく、オペレーターは作動状況の確認後は別の作業ができる。
製造効率が上がり、短納期対応できるようになったことで失注物件も減った。さらに取引先からの見学や新規案件受注にも繋がっている。
導入してまだ1年半だが、今後オペレーターの熟練度が増せば新たな切断方法を考案し提案できるようになると思う。プロッターと上手く使い分けできるようになれば、一層の業容拡大が図れると期待している」
若松パッキングへの問い合わせは電話=093・761・1241まで。
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