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SSBRなど収益ドライバーに達成めざす

JSRが新中計発表、売上4,600億、営業益420億円計画

原材料 2017-05-29

説明する小柴社長

補完関係に変化か

 今回の新中計では、SSBRが収益ドライバーの一つに挙げられている。製品の拡販や新ラインのフル生産化、新工場立ち上げで達成を目指していくが、それらと併せて注力するのが、耐摩耗性能を向上したSSBR新製品の投入だ。

 新製品投入について小柴社長は「従来の車に比べ車重の重いEV(電気自動車)が、これから増加していくことを考えると、省エネ性能だけでなく、耐摩耗性能がポイントになっていく」と、その背景を話す。

 SSBRの生産には、「バッチ重合」と「連続重合」という2つの製法が用いられる。一般的に、バッチ重合で生産したSSBRは連続重合で生産されたものに比べ、転がり抵抗低減など省エネ性能に優れ、連続重合で生産したSSBRはバッチ重合で生産されたものに比べ、耐摩耗性能や操縦安定性に優れるといわれている。JSRはSSBRを主にバッチ重合で生産し、一方の連続重合での生産を得意としているのが、業界首位の旭化成だ。

 タイヤの生産にはバッチ重合、連続重合で生産されるそれぞれのSSBRが併用されるため、「これまでJSRと旭化成との間は、競合というよりも、むしろ補完関係にあった」(小柴社長)というが、JSRが耐摩耗性能を向上した新製品を投入していくことにより、その関係が変化していくとみられる。

 JSRが新製品投入を決断したのは、生産能力の拡大が背景にある。「これまでは生産能力に余力がなかったため、そうした製品を生産することができなかったが、タイやハンガリーの工場が稼働することで、生産能力が整い可能になる」(同)。新製品をどちらの製法で生産するかの明言はしなかったものの、今後SSBR市場では新たな競争が始まることになる。

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