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【新年トップインタビュー】

JSR社長小柴満信氏、「生産性向上に向け人材、ITへの変革進める」

原材料 2018-01-16


 ■2018年の見通し
 国内タイヤにもう少し頑張って欲しいが、全体的には良いと考えている。

 これだけ全ての業界が好調だと、どちらかと言うと皆でリスクのあら探しをし始めるが、リスクがあるとすれば上振れリスクだろう。

 18年3月期の業績予想は営業利益が430億円で、「JSR20i9」の最終年度目標である420億円を超える見込みだ。ただ、数字はあくまで結果であって目標ではない。

 ■新興国との技術差
 合成ゴムは半導体と違い、世代が次から次へと変わるものではない。技術という面を長い目で見れば、新興国にいずれ追い付かれるかもしれないが、当社の強みは技術だけではない。

 今後、世界的にブタジエンの供給は決して潤沢ではなく、ソースは限られてくる。市場に近く、原料、ユーティリティ、労働力で有利な立地が競争条件として必要になる。当社は競争条件を満たすタイ、ハンガリーにSSBRの拠点を設け、川上の企業と合弁事業を行えているのは強みだ。競争条件を満たせば、仮に技術で追い付かれたとしても、負けることはない。

 ■人材について
 人材不足には、中途採用やICT技術の導入などによる業務の補助で対応していくが、いかにして生産性を上げていくかが重要だ。生産性は2-3倍ではなく、10倍くらい上げなければダメだ。カギとなるのはITと組織の風土改革、メンタリティの醸成だ。2025年以降はデジタル革命で大きく変わる。そのための準備、投資も必要だ。

 今までとは全く異なるデジタルなものの考え方を進めるため、データサイエンティストの育成を進めている。毎年5人程度を米国のシステム会社に派遣し、育成しようとしている。

 当社にとって働き方改革は、単に時間外労働時間の削減ということではなく、人材、ITへの変革を進めることだ。それと併せて、知的好奇心へのチャレンジも推進していく。

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