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【新年トップインタビュー】

JSR社長小柴満信氏、「生産性向上に向け人材、ITへの変革進める」

原材料 2018-01-16


 17年5月に新中期経営計画「JSR20i9」を発表したJSR。18年3月期通期業績予想は上方修正した。「仮に対面業界が伸びない中でも、自力で成長できる要素があった当社にとって、環境が整えば自ずと数字はついてくる。2018年も環境はそこそこ良いとみている。リスクがあるとすれば上振れリスク」と語る小柴満信社長に聞いた。

 ■2017年を振り返って
 2017年は地政学的リスクが悪化すると考え、5月に発表した「JSR20i9」もそうしたリスクを勘案し、対面業界が伸びないとの前提で作成した。ただ、2017年を振り返ると、対面業界の全てが良かった。その中で、国内タイヤはもう少し元気が欲しい。

 当社はこれまで、不採算事業から撤退し、あわせて新事業へも積極的に取り組むことで、仮に対面業界が伸びない中でも、自力で成長できる要素があった。そのため、環境が整えば自ずと数字はついてくると考えていた。大幅な増収増益となった第2四半期は、それが結果として現れたものだ。

 10月には通期業績予想を上方修正した。環境は悪くなく、通期計画は達成できると考えている。

 ■エラストマー事業
 当社のエラストマー事業は、まだ国内タイヤ向けの販売が多く、その動向に影響を受ける。

 国内のタイヤは、統計を見る限りでは市販用の数字が今一歩だ。生産も14年から15年に5%、15年から16年にかけても4%減少し、17年は減少しないだろうと思っていたが、なお減少しそうな状況だ。構造的なもので仕方ない部分もあるが、その減少は想定を超えている。

 今期のエラストマー事業は、スプレッドの拡大により、第1四半期の営業利益が通常より30億円ほど高かった。それが第2四半期になり、スプレッドは620ドルと大きく縮小し、条件としてそれほど良くない水準まで落ちたが、営業利益率6%をキープした。条件の良くない中、コモディティで6%の営業利益率を達成したことは、実力がついていると言える。戦える事業になっているということだ。

 エラストマー事業には安定した収益を期待している。そのためには、グローバルに販売していくことが必要だ。半導体事業で行ったようにタイヤメーカーのグローバル化に対応していく必要がある。ただし、アジアだけに進出していてはダメだ。タイヤが伸びる地域に進出する必要がある。ハンガリーでの溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)の新プラント建設は、東欧での需要を見越したものだ。SSBRは、タイヤ企業がグローバル展開している限り、グローバルな視点とそれに対応した供給力が当然必要になる。

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