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軟式野球ボール12年ぶり新意匠

ナガセケンコー、今年12月発売に向け生産準備

工業用品 2017-01-17

ケンコーボールM号(左)と従来のA号


 軟式野球ボールの意匠が12年ぶりに変更されることに伴い、ボールメーカーのナガセケンコー(本社・東京都墨田区墨田、柳田昌作社長)は1年後の2017年12月発売に向けて、生産準備に取り組み始めた。

 全日本軟式野球連盟と野球ボール工業会(工業会会長が柳田社長)は、2016年12月1日に東京都内で記者会見し、軟式ボールの新意匠ボール(次世代野球ボール)の内容について発表した。「軟式ボールの安全性を軸に、時代の変貌に対応し、軟式野球競技者・愛好者が各ステージで軟式・硬式の相互移行を図りやすくし、野球文化の維持・拡大に寄与する」ことを新ボールの基本コンセプトとしている。

ケンコーボールM号を手にする柳田ナガセケンコー社長


 新ボールは現在の3種類から2種類になり、従来のA号(一般)とB号(中学生)は「M号(メジャー)」に、C号(学童)は「J号(ジュニア)」にそれぞれ呼称変更される。

 新ボールの特徴は、バウンドを押さえながらも、新意匠の効果と圧縮荷重を上げ(硬くして)変形エネルギーを抑えることで飛距離を伸ばしたことにあり、法政大学新井教授による超高速度撮影の分析で実証されている。

 新意匠効果のポイントとして、①縫い目の形状を硬式と同じ入りの字を採用し、縫い目の数を増やし(88個から92個)②東海大学青木名誉教授の理論を採用し全表面積に対してのディンプル面積占有率を変更(70.2%から80.1%)、③消耗度合を判断するスリップマークを採用、の3点としている。

 今回のこうした意匠変更の背景には、「これまでの軟式ボールは弾みすぎる」という声が多かったことから、低いバウンドでも飛距離が出るような意匠を採用した。「実際にテスト使用した各チーム選手の反応は良く(投げやすい、飛距離が出る)、これで軟式野球が変わるという野球指導者の声もある。野球がより面白くなってくるのではないか」と、柳田社長は話す。

 現在、全日本軟式野球連盟公認ボールメーカーはナガセケンコーを含め4社あり、ナガセケンコーが東日本を中心にシェア60-65%を占めている。

 製造大手のナガセケンコーでは、群馬県館林市と千葉県大多喜町の2工場でボールを製造している。今後のスケジュールについて、「全日本軟式野球連盟では一般は2018年から、中学・学童は2019年からの主催大会での使用を検討しており、当社は『ケンコーボールM号』を17年12月、『同J号』を18年後半頃の発売を予定している。価格はA号が600円、B号が570円であるが、M号の価格は開発に要した費用と今後の需要動向を睨みながら考えていきたい」(柳田社長)。

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