東電・広野火力発電所で活躍
吉野ゴム工業の「二枚目君」、クリンカ搬送で評価高める
工業用品 2016-10-05
吉野ゴム工業(本社・大阪市、伊藤吉秀社長)の急傾斜・垂直搬送コンベヤシステム「二枚目君」が東京電力広野火力発電所の5号ボイラーのクリンカ(石炭灰)搬送=写真=で活躍している。
「石炭を原料とする火力発電所には安定的な石炭搬送やクリンカ搬送のため各種コンベヤベルトが使用され、どのコンベヤベルトにおいてもトラブルが発電に大きく影響するため、重要な役割を果たしている」と、広野火力発電所の機械メンテナンスを担当する東京電力フュエル&パワーの大竹昭機械メンテナンスグループボイラーチームリーダは説明する。
現在、わが国で最も多く電力を生み出しているのが火力発電である。火力発電は発電効率が比較的高く、燃料調節によって発電量の調整も容易などの点が特徴だ。福島県双葉郡広野町にある東京電力広野火力発電所では、現在熱効率が高く、CO2排出低減を図る「石炭ガス化複合発電」(IGCC)を進めている。これは福島県で技術開発が進められた最先端の火力発電方式で、新しい火力発電の可能性を追求している。
一般に火力発電の燃料には石炭をはじめ重油や原油があるが、東京電力・広野火力発電所の5号機と6号機は石炭による汽力発電が行われている。
汽力発電とは、蒸気の膨張力を利用した発電方式で、重油や原油、LNG(液化天然ガス)、石炭などを燃やした熱で高温・高圧の蒸気をつくり、この蒸気を使って蒸気タービンを回し、発電機を動かして発電するシステムである。
石炭を原料にした場合、燃やした石炭のクリンカ(石炭灰)がボイラーの底に溜り、そのクリンカを排出するためホッパへ搬送する必要がある。
その際、燃えたままで高熱を帯びたクリンカは一度水を張ったプールに落とされて冷却され、含水した状態で排出されるため、従来のコンベヤシステムではクリンカがベルトに付着して、持ち帰りによる落塵のトラブルが生じることがあった。
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