ミズノと共同開発した「Q3」
住友理工、卓球ラバーに生かされた防振ゴム等のノウハウ
工業用品 2018-02-13
防振ゴムやホースなど、自動車部品のイメージが強い住友理工。実際、17年3月期の売上高に占める自動車部品の比率は85%に上る。その住友理工が、スポーツメーカーであるミズノと卓球ラバー「Q3」を共同開発した。スポーツ分野へのゴム製品の供給は、住友理工にとって初めてのこと。スポーツと自動車、一見すると大きく異なる分野だが、「Q3」には住友理工が長年蓄積してきた防振ゴムや材料技術のノウハウが生かされていた。
「Q3」開発のきっかけは、ミズノからの打診だ。国内で使用されるおよそ8割が海外製という卓球ラバーにおいて、国産の製品開発を目指していたミズノがいくつかのメーカーに声を掛けた。その中の1社が住友理工だった。「性能はもちろんのこと、開発のスピード、生産体制、材料調達、トライしたい熱意があるかも含めて、会社の総合力でパートナーに選んでもらえたと考えている」と、開発担当者の間瀬昭雄研究開発本部先行技術研究所NEXT開発室担当課長は語る。住友理工は自動車分野を伸ばしつつ、非自動車分野の拡大を目指している。新事業参入の背景には「当社が有する材料技術の強みが生かせる分野」(間瀬氏)との判断があった。
求められた性能は、スピードとスピン。相手の打った玉のスピードを落とすことなくそのまま跳ね返すことと、よりスピンがかかることを必要とされた。また、卓球ラバーには国際卓球連盟の規定があり、寸法はもちろんのこと、材質、色や光沢にまで及んでいる。例えば、色は黒と赤しか認められておらず、その色味についても規定がある。そうした規定に加え「スピードやスピンの数値だけ良くてもダメで、打感という感性の部分も追求しなければならなかった。そこを材料、数値に落とし込むのに苦労した」(同)。
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