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「廃炉」「医療」「アグリ」「宇宙」分野に展開へ

【インタビュー】極東産業社長中村俊介氏、築き上げた電力業界向けノウハウ活かす

商社 2017-05-16


 3月1日付で極東産業の4代目社長に就任した中村俊介氏。「父である中村文俊が1960年7月に極東産業を創業して以来、国内電力業界のお客様が今日の極東産業の柱となっているが、今後は新規事業、新規顧客の開拓にも積極的にチャレンジしていきたい」と抱負を語る。

 ■極東産業という会社
 一言でいうと、業界、お客様、仕入先、協力業者に恵まれた会社だと思う。創業者である父が極東ゴム(大阪)のオーナーの親戚だったこともあり、同社の東京営業所の責任者を経て1960年に独立。主力である電力業界および重電、ポンプ、水処理業界の取引先と緊密なリレーションシップを築いて歩んできた。「至誠天通」を社是に「自由闊達・明朗闊達」、「チャレンジング」な社風づくりを目指している。

 ■社長としての抱負
 まずは、これまで築いてきた社歴と、各業界の大手企業との取引という有形無形の財産を活かしきることを考えている。常にお客様の声を聞き、ニーズを先取りした商品の提供やお客様が抱える問題の解決をお手伝いすることができるソリューション型企業を目指し企業価値の向上に努め、プラント業界における技術商社としてのステータスの確立を目指している。

 ■重点施策
 「営業力の強化」「研究開発投資、新事業開発投資の継続的推進」そして「働きがいある職場の基盤作り」の3点だ。今後の課題としては、新たな事業領域と新規顧客の開拓に積極的にチャレンジして、国内電力業界への依存度を相対的に下げていくことを考えている。具体的には「廃炉」「医療」「アグリ」「宇宙」分野へ向けて営業活動を開始している。また電力に関して海外需要に対応する体制づくり(例えば海外にある日本ベンダーと業務提携)などに着手している。

 ■研究開発投資
 新しい分野に展開を図るには、既存の商材にはない高機能性を有する付加価値の高い商品が不可欠となり、投資もしている。高付加価値商品としては、例えばゴムや樹脂でいえば、耐放射線性ゴムに耐熱性能を付加したゴム(耐熱耐放射線性ゴム)、あるいは鉄と同じ質量で鉄より優れた遮蔽性能を有するゴム、さらに耐放射線性、耐摩耗性に優れる架橋テフロンなどを現在、産・学・官(早稲田大学、量子科学技術研究開発機構)連携で研究しており、一部今年中に製品化できる見通しだ。

 ■拡販が期待できる案件
 ひとつは発電設備の効率、稼働率向上に向けて長年取り組んできた火力向けタービンの潤滑油ろ過装置が本格採用となり、今後電力会社と共同でIoTによる状態管理のシステム構築に取り組む予定だ。もうひとつは定検時の効率改善の一環として、メンテナンス業務の工期短縮にレーザー洗浄装置を開発し、このたび正式に採用された。現在拡販に向けて全国の発電所にてデモを行っている状況だ。

 <人となり>
 中村俊介社長の座右銘は「cool head,warm heart」(英国の経済学者マーシャルの言葉)。趣味は愛犬(トイプードル)との散歩、「ワインと日本酒」、「ピアノ音楽の鑑賞」(クラシック、ジャズ)。これらを通してリフレッシュしている。「当社の商材を考えるとゴム製品商社のカテゴリーに存在してよいものか迷うところだが、東部工業用ゴム製品卸商業組合の皆さんには非常にフレンドリーに接していただき居心地がよく、またその強い結束力も感じ取っている」と話す。1957年生まれ、59歳。

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