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複雑な形状を持つ装置類にも塗布可能

極東産業、安藤ハザマと共同で中性子放射化抑制する塗料材を開発

商社 2018-11-20

今回開発した塗料材


 極東産業(中村俊介社長)と準大手ゼネコンの安藤ハザマ(福富正人社長)はこのほど低エネルギー中性子による放射化を抑制する塗料材を共同開発した。この塗料材は、塗料材に含まれる水素成分により中性子を減速させ、ホウ素化合物が中性子を吸収することにより、放射化を抑制するもの。

 この塗料材をコンクリートに10ミリ厚塗布した場合、コンクリートの放射化量は、塗布していない場合に比べて従来品と同等の約25分の1に低減されることが、コンクリートの放射化抑制性能試験で確認された。人への影響や放射性廃棄物の増加の主な要因となる低エネルギー中性子による放射化の抑制を目的とした最大約30ミリの厚塗りも可能だ。

 放射化とは、中性子によってコンクリートや金属内の元素の一部が放射性となる物理現象であり、中性子が発生する研究施設や医療施設では、その施設内の人への影響やコンクリートなどが放射化することによる放射性廃棄物の増加が懸念されている。

 従来は、ポリエチレンとホウ酸を組み合わせた板状の樹脂材料や、研磨剤などに用いられている炭化ホウ素を混入した板状の樹脂材料などを利用して、平面の壁に対する放射化抑制対策が実施されていたが、極東産業がゴムの加工技術を駆使し、塗料材として開発。コンクリートや金属、ポリエチレンなどの樹脂への塗布が可能で、平面だけでなく曲面などの複雑形状部にも直接塗布するなど、施工や用途での自由度を向上させた。これにより従来の板状の材料では必要だった下地材が不要となり、またコンクリート壁などの平面だけでなく、中性子の発生源となる複雑な形状を持つ装置類にも塗布することができる。

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