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他のゴム製品への波及に注目

ゴム製品値上げ、タイヤ、ベルトがおおむね出揃う

タイヤ 2017-09-19


 天然ゴム、合成ゴムといった原材料価格、副資材価格や物流費などの高騰に伴う市販用タイヤ、ベルト製品の値上げが概ね出揃った。今後、ゴム板など他のゴム製品に値上げの動きが波及していくのか、その動向が注目されている。

 市販用タイヤの値上げは夏用が6月から、冬用が9月から実施された模様だ。日本自動車タイヤ協会(JATMA)まとめによる市販用タイヤ販売本数の統計によると、値上げ直前の5月の販売本数は乗用車用が前年同月比45.8%増、小形トラック用が同42.8%増、トラック・バス用が同66.8%増で四輪車合計では同46.5%増、また8月は乗用車用が同34.8%増、小形トラック用が同31.2%増、トラック・バス用が同58.6%増で四輪車合計では36.2%増となった。値上げ直前の駆け込み需要(仮需)が発生したことがうかがえる。

 一方のコンベヤベルト、伝動ベルトといったベルト製品の値上げは、ブリヂストンは7月から(各社発表ベース、以下同)、バンドー化学が10月から、三ツ星ベルトが11月から、ニッタが12月からの実施で、秋以降に本格化していくとみられる。原材料価格、副資材価格に加え、物流費の高騰が大きなコストアップ要因となっており、それらの動きに対応したものだ。ただ、物流費の高騰はベルトメーカーだけでなく、ゴム関連企業全体にとっての大きな課題で、喫緊の対応が求められている。

 物流費の高騰が深刻
 物流費の高騰は深刻だ。昨今、大手物流会社から運賃値上げの発表が相次いでいるが、ゴム関連企業にはすでに大きな影響を及ぼしている。

 あるホースメーカー幹部は「ホースは重量があり、一人で運ぶことができないためか、物流会社によっては敬遠されることもある。その結果、チャーター便を手配しなければならなくなるが、チャーター便を手配すると出荷する製品、配送地域によっては赤字になってしまうこともある。ホースは中が空洞のため、輸送効率が良いとは言えない。今後、厳しさは増していくだろう」と話す。

 また、ある関係者は物流費の高騰について「人手不足が背景にあり、働き方改革も叫ばれている中で、それは世の中全体で受け入れていかなければならないと思う。ただ、そうした背景だとガソリンなど燃料代が高騰した時とは違い、再び安くなるということはないだろう。物流費高騰への対策に、本腰を入れていく」と危機感をにじませる。

 ゴム製品の値上げというと、これまでは天然ゴムや合成ゴム、ゴム薬品といった原材料、副資材が主因だった。ただ、物流費高騰のように、今後は値上げの主因が必ずしも原材料、副資材とは限らないかもしれない。時流に合致した対応が求められている。

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