EVやコンパクトカーなど多用途での可能性追求
東洋ゴム工業、エアレスタイヤを開発(詳報)
タイヤ 2017-09-19
東洋ゴム工業は9月8日、大阪府吹田市千里万博公園のホテル阪急エキスポパークで空気充填不要の近未来型エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」の開発発表会と万博記念公園・お祭り広場で「ノアイア」の実車装着試走会を行った。
「ノアイア」は、過去の試作モデルから抜本的にタイヤ構造を変革し、課題改善を推進。複数の性能指標を飛躍的に向上させるとともに、実用可能なレベルでの走行が可能となったもの。
内芯側は高剛性の特殊な樹脂スポークでタイヤの基本構造を構成、荷重を支持する力を確保するとともに、外側の路面に接するトレッド部分にはゴム部材を用いて、「走る、曲がる、止まる」というタイヤの基本性能を成立させた。スポークとトレッドゴムの間には、樹脂で構成する外径リングの内部にCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)を配し補強する工夫により、スポークにかかる荷重を低減した。
また、過去の試作モデルでは「楕円形のスポーク構造」によって、荷重を支持していたが「ノアイア」は、タイヤ幅の奥側と手前側を交互に交差させる「X字型スポーク構造」の採用により、独自の支持構造形態を実現。耐久力は同社の市販製品(空気入りタイヤ)での法規相当条件を大幅にクリアするとともに、過去の試作モデル比で8倍以上に向上。転がり抵抗値は同比2分の1以下に低減し同市販製品比で25%良化、ウェット制動距離は同市販製品比で4%短縮している。さらに、スポーク本数を過去モデルより倍増(100ピッチ)したことで接地圧を分散、スポークによる打撃音を緩和させ、これまで以上の静粛性を実現するなど、優れた環境性能と安全性能も確保した製品となっている。
過去の試作モデルに比較し、軽量化は図れたが同社市販品の空気入りタイヤに比較すると1本当たり1.3キロ重い。このほか車内音や乗り心地などまだ課題点が残されている。
同社では「空気入りタイヤの基本構造」を根本から見直し、空気充填を不要としながらもタイヤの基本性能を担保する新しい概念をテーマに、2006年からエアレスタイヤの研究に取り組んできた。同社ではEVやコンパクトカーをはじめ多用途での可能性を追求していく方針だ。
「ノアイア」の発表会見で守屋学技術第一本部本部長は「空気充填不要タイヤとして当社では第6世代となるノアイアを開発した。実装用として時速120キロまで耐えるレベルで、まだ量産化には課題も多いが、X字型スポーク構造など革新を進め耐久力、静粛性などと走行で実用性を持ち、前世代から飛躍的にレベルは成長した。今回、現状の技術レベルを公開することでより多くの知見を得て、さらに研究と技術開発を進めたい」と語った。
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