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タイヤ4社の15年12月期業績

米国市場の好調が業績に寄与

タイヤ 2016-02-22

左からブリヂストン津谷社長、住友ゴム工業池田社長、横浜ゴム野地社長、東洋ゴム工業清水社長

左からブリヂストン津谷社長、住友ゴム工業池田社長、横浜ゴム野地社長、東洋ゴム工業清水社長


 タイヤ4社の15年12月期連結業績が出揃った。ブリヂストンと東洋ゴム工業が過去最高の営業・経常益を上げた一方、住友ゴム工業、横浜ゴムは減益となり明暗が分かれた。4社とも為替円安や原材料安というプラス影響、中国をはじめとした新興国の景気低迷やタイヤ販売価格の下落というマイナス影響を受けたが、北米市場で高収益を上げた2社が好業績となった。今期は急激な円高や価格低下の影響を勘案し、各社とも厳しい業績予想をしている。
 

今期は円高、売価低下を懸念

 ブリヂストンは売上高と営業利益、経常利益が過去最高となった。営業利益は、売値の低下や販管費の増加などのマイナス要因はあったが、為替円安と原材料安がカバーし前期比392億円の増益となった。

 東洋ゴムも、当期純利益は免震ゴム問題の影響で大幅減となったが、売上高、営業利益、経常利益とも過去最高となった。

 両社とも共通しているのは米国市場で高収益を上げている点。ブリヂストンは米州での売上高が前期比10%増、営業利益が同23%増と、日本を含めた他の地域に比べ突出している。

 東洋ゴムは、高付加価値品であるSUV用タイヤが好調で、日本の売上高を大きく上回った。「営業利益も北米から日本へのロイヤリティー分を除けば、北米の利益が日本を上回っている」(清水隆史社長)。

 住友ゴムは、営業・経常利益は減少したが、売上高と当期純利益は過去最高となった。当期純利益は、米国グッドイヤー社とのアライアンス解消に伴う特別利益の計上で増加した。

 営業利益は原材料安により377億円増加したが、競争激化による販売価格低下(267億円減)などのマイナス要因により、前期に比べ92億円の減益となった。

 横浜ゴムは、売上高は過去最高だったが、利益は営業、経常、当期とも減少した。原材料安や円安などの好材料もあったが、価格競争の激化などが影響し収益が悪化した。タイヤ事業は、国内の不振を好調な海外販売がカバーし、僅かだが増収した。

 今期の業績見通しは、為替円高やタイヤ価格の低下を見越して厳しい予想をしている。増収予想は住友ゴム、横浜ゴム、東洋ゴム。ブリヂストンは、タイヤ販売は増加するが円高の影響で減収と予想。

 営業利益はブリヂストン、住友ゴム、横浜ゴムが増加。東洋ゴムは価格低下と円高の影響で2ケタ減を予想している。
 

各社北米事業を強化

 国内タイヤ4社の15年12月期決算が出揃った。決算説明会で各タイヤ首脳は、次のように北米市場の重要性や強化を訴えていた。

 ○…2月12日、横浜ゴムの野地彦旬社長 「16年3月から北米経営体制を強化する。米国で展開するものは、企画からマーケティング、開発まで一貫して米国主導で行う。今回、新城工場でハイインチタイヤを増産するが、SUVを中心に国内外で需要が高まっているため、北米でSUV用タイヤを早期に開発していく」

 ○…2月12日、住友ゴム工業の池田育嗣社長 「米国市場で高性能・高品質なタイヤを迅速に提供するためには、現地でタイヤを開発し、バッファロー工場を活用した開発・生産の一体化が必要だ。基本的な技術は日本が担当するが、開発を日本でやっていてはスピードが遅すぎる。お客の好みに合ったものは現地で開発することが必要であり、そのため17年に北米でテクニカルセンターの本格稼働を検討している。これは欧州でも同じ考え方だ」

 ○…2月15日、東洋ゴム工業の清水隆史社長 「当社の収益の源泉、事業ポートフォリオは北米市場だ。その北米にあるタイヤ生産拠点TNAの第4期拡張が昨年末完了したが、さらに第4期追加増強で年産250万本を上積みし、16年12月には同1150万本の生産能力を持つ、当社最大のタイヤ工場となる」

 ○…2月17日、ブリヂストンの津谷正明CEO 「急成長が終わった中国市場では、販売網の整備と質を上げ、高コストでも利益を出していけるように転換を図っているが、米国市場でも同じような戦略を取っている。北米の乗用車用ラジアルタイヤ生産拠点、ウィルソン工場の増強を発表したが、米国では大型車が売れ、大きな需要となっているので、生産内容も質の転換を実施して、いい工場にしていきたい」

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