【インタビュー】ゴム連合委員長山本昭二氏
魅力あるゴム産業のためにも賃上げは必要
その他 2016-02-08
ゴム連合の山本昭二中央執行委員長に「2016春季生活改善のとりくみ方針」や今期の課題についてインタビューした。
■賃金底上げ
15年のとりくみでは賃金底上げの手応えを実感することができました。特に中小の組合が頑張ったと思います。社会的な要請や意識の高まりもあり、経営者も前向きに取り組んだことで大手・中小とも全体的に成果を上げることができました。
今回は昨年に比べると厳しくなると予想しています。ゴム関連企業の業績状況を見ると、第2四半期に比べ通期は業績が悪化するとの見通しが多く、好業績の企業でも伸び率は鈍化の傾向です。
労使関係が良好な組合ほど、双方の情報の共有化が進んでおり、会社の経営状況を詳細に把握しています。そのため業績が悪化すれば、会社の状況を慮り、要求内容や要求姿勢が遠慮がちになりやすいと思います。でも、それはそれとして、賃金や労働環境改善などの要求は、きちんとしていかなければならないと思います。
賃金については、定期昇給と賃金カーブ維持分の確保を大前提にしています。賃金の上げ幅は連合方針を踏まえて、所定内賃金の2%程度を基準にしています。他産業との格差を防止し、ゴム産業を魅力ある産業にしていくためにも賃金の底上げは必要です。
経営者は人件費を“コスト”と考えていますが、人件費はコストではありません。この点を、経営者の方々や我々も含めて、しっかり認識しなければいけません。
■労働対策
16春のとりくみでは、過重労働対策も重点課題のひとつです。組合員の健康確保の観点から、36協定(労働基準法第36条に定められている労使協定)の適正な運用管理と協定時間縮減に取り組みます。36協定では年間の残業時間の上限を360時間としています。特別条項付協定ではそれを750時間としていますが、それを360時間に近づけるよう努力します。
■今期の課題
ゴム連合では、単組の主体性を尊重していますが、私は、活動のすべてを各単組の主体性に任せて良いのか、と疑問に思っています。時には産別がサポートすることも重要と考えています。
大手組合は組合員も多く、ノウハウを持っているので生活改善のとりくみも進んでいますが、中小の組合ではなかなか対応しきれていません。ゴム連合加盟組合では、こうした中小単組が8割弱を占めています。
そこで昨年、労働政策検討委員会を立ち上げました。ここでは、中小組合のニーズを把握し、産別全体で取り組む課題を提起してもらい、産別がサポートしながら政策検討・基準立案を行います。現在、メンタル対策と暑熱対策の2テーマについて話し合っています。少しずつですが成果が出始めています。
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