「iceGUARD 8 SUV」を装着したトヨタ・ハリアー(4WD)


 横浜ゴムは9月1日、SUV用スタッドレスタイヤの新商品「iceGUARD 8 SUV(アイスガード エイト エスユーヴィ)」を発売した。

 同社がSUV用スタッドレスの新商品を投入するのは、2016年発売の「iceGUARD SUV G075」以来、約10年ぶり。

 乗用車用スタッドレス「iceGUARD 8」で初採用した冬用タイヤ技術コンセプト「冬テック」を採用し氷上性能を大幅に向上しながら、SUVユーザーが重視する雪上性能と耐摩耗性能も高めた。

 2026年2月に同社の北海道タイヤテストセンター(TTCH、北海道旭川市)で開催された試乗会で、その性能を体感した。

SUVユーザーが求める3性能を追求

 「iceGUARD 8 SUV」は、「冬テック」採用商品の第2弾。

 「最新の乗用車用スタッドレスの技術を採用」「氷上性能を向上しつつ、雪上性能・耐摩耗性能に配慮」「専用構造を採用し、最新のSUVに対応」の3つをコンセプトに開発した。

 横浜ゴムによると、国内の乗用車用スタッドレス需要がおおむね横ばいで推移する一方、SUV用は好調な新車販売台数とリンクして増加傾向にある。

 また、スタッドレスに求める性能については、乗用車、SUVユーザーともに氷上性能を最も重視するが、SUVユーザーは乗用車ユーザーに比べ、雪上性能と耐摩耗性能も重視する傾向が強いという。

 背景には、積雪時の走行性能を考慮してSUVを購入するユーザーが一定数いることや、SUVユーザーの積雪路走行距離が乗用車ユーザーより長い傾向にあることなどがある。

 このため新商品では、高い氷上性能を確保しながら、雪上性能と耐摩耗性能を最大化した。

冬用タイヤ技術コンセプト「冬テック」をSUVへ

 コンパウンドには、「iceGUARD 8」の「冬ピタ吸水ゴム」をSUV用に改良した「冬ピタ吸水ゴム SUV」を採用した。

 多層構造で高い吸水力を持つ天然由来素材「水膜バスター」を高密度に配合して、従来品に比べ水膜の吸水量を3%向上し、氷とゴムの「接触の密度」を61%増加させた。

 また、シリカを投入したSUV専用配合によって、路面に追従するしなやかさと、車重の大きいSUVをしっかり支える剛性を両立。さらに劣化抑制配合によって、約4年後まで氷上摩擦力の低下を抑える。

 トレッドデザインでは、AI活用フレームワーク「HAICoLab(ハイコラボ)」のAI技術とシミュレーション技術を活用。

 SUV専用に最適化したプロファイルと、排雪性に優れる方向性パターンなどにより、従来品比で接地面積を3%、ブロック剛性を16%、溝エッジ量を19%増加した。溝エッジ量は“アイスガード”史上最大となる。

 こうした技術によって、従来品「G075」に比べ氷上性能を14%、雪上性能を4%、耐摩耗性能を11%向上。その上でドライ性能を5%向上し、ウェット性能は同等を確保しながら、転がり抵抗を14%低減した。

「G075」からの進化を氷雪上で確認

 試乗会では、従来品「G075」と「iceGUARD 8 SUV」の比較を通じ、氷上、雪上での性能を確認した。

 「G075」は2016年の発売以来、SUV用スタッドレスとして雪上性能を追求してきた。横浜ゴムでは国内のスノーイベントやラリーなどを通じ、その雪上性能について高い評価を得てきたとしている。

 新商品の大きなポイントは、そうしたSUV用スタッドレスとしての雪上性能をさらに高めながら、「冬テック」によって氷上性能を大幅に引き上げたことにある。

 氷上では制動、旋回ともに従来品からの進化が感じられ、車重の重いSUVでもタイヤが路面をしっかりと捉え、安定した挙動を示した。

従来品「G075」との制動比較①氷上性能を14%向上

 雪上においても、従来品が持つ高い走破性を継承しながら、旋回時の安定性や操作性を高めている印象だ。

 接地面積や溝エッジ量の増加に加え、ブロック剛性を高めたSUV専用パターンが、雪上でのグリップと車両を支える安定感に繋がっている。

従来品「G075」との制動比較②雪上性能を4%

「iceGUARD 8」とはニーズに応じて棲み分け

 乗用車用の「iceGUARD 8」と「iceGUARD 8 SUV」では、一部サイズが重複する。

 両商品は優劣ではなく、ユーザーが重視する性能によってキャラクターを分けている。

 「iceGUARD 8」は氷上性能と効き持ち性能をより重視する一方、「iceGUARD 8 SUV」は高い氷上性能を確保しながら、SUVユーザーのニーズが高い雪上性能と耐摩耗性能とのバランスを追求した。

 横浜ゴムでは、凍結路面を走行する機会が多い地域では「iceGUARD 8」、雪上性能や耐摩耗性能とのバランスを重視する場合には「iceGUARD 8 SUV」と、地域の降雪・路面状況に合わせた選択を提案している。

 従来品「G075」が得意としてきた雪上性能をさらに高めながら、「冬テック」によって氷上性能も大幅に引き上げた「iceGUARD 8 SUV」。

 高荷重化、高速化する最新のSUVへの対応も含め、約10年ぶりとなるSUV用スタッドレスの刷新で、横浜ゴムの冬用タイヤラインアップがさらに強化された。

 今シーズンの発売サイズは275/45R20 110T~175/80R16 91Tの全28サイズで、2027年にはさらなるサイズ拡大を予定している。