リケンテクノスは9月9日、信州大学と共同研究を進めている酸化亜鉛を用いたポリ塩化ビニル(PVC)のケミカルリサイクルで、新たな知見を獲得したと発表した。脱塩素化反応について検討を進めてきたもので、その成果を同日から熊本大学で開催される「第138回触媒討論会」で発表する。

 使用済みプラスチックの有効利用法として、国内では現在も焼却時の熱回収によるサーマルリカバリーが主流となっている。その一方、このところは回収プラスチックを破砕・洗浄後に溶融混錬して再ペレット化するマテリアルリサイクルや、熱分解によって一旦化学原料に戻し、再びプラスチックや化学品に転換するケミカルリサイクルへの注目が高まっており、産官学による技術開発が活発に進められている。

 特にケミカルリサイクルでは、ポリエステルやポリオレフィンを対象としたモノマー化や油化技術が一部商業化されており、今後のさらなる発展が期待されている。

 こうした中、同社の主力商材となっているPVCコンパウンドは、主原料PVCのポリマー骨格中に塩素を含有しているため、分解反応時に生成する塩素含有化合物の取り扱いが難しく、炭素を主成分とする残渣骨格が複雑な組成となっている。さらに、コンパウンドを構成する可塑剤、安定剤、充填剤などがPVCの分解反応に及ぼす影響についても不明な点が多く残されている。

 このためPVCコンパウンドのケミカルリサイクルは、他のプラスチックと比べて技術的難易度が高い。数多くの研究開発が進められてきたものの、現状では実証実験段階にとどまっている。

 同社は、これらの課題解決を目指す中で、信州大学の岡田友彦教授らのグループが過去に実施した「酸化亜鉛によるPVCの脱塩素挙動に関する研究」に着目。そして、酸化亜鉛の特異性理解や添加剤の影響、脱塩素化物の有効活用法などについて更なる詳細を検討するため、同グループとの共同研究を進めてきた。

 研究では、添加剤を含まないPVC単独の場合、酸化亜鉛存在下での熱分解によって高効率な脱塩素化反応が進行するという既知の成果を基に、実際のPVCコンパウンドを想定し、可塑剤が共存する場合の挙動について検証してみた。その中で、汎用的な可塑剤としてアルキル鎖長の異なるフタル酸ジエステルを用いて評価した結果、可塑剤の種類によらず、いずれも200℃程度で高い脱塩素率を達成した。同時に、可塑剤が存在すると酸化亜鉛がPVC中に均一に広がりやすくなるため、特殊な混合法を必要とせず、一般的な混練法で対応できる可能性が示唆された。

可塑剤の種類によらず、いずれも200℃程度で高い脱塩素率を達成

 これらは、使用済みPVC製品の有効利用法を確立する上で、重要な知見になるとしている。

 こうして両者は、酸化亜鉛を用いたPVCコンパウンドの効率的な脱塩素反応の可能性を示す知見を獲得した。

 同社は、今後もPVCをはじめとする塩素含有プラスチックの新たな有効利用の可能性を見出し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。