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2023年12月期第3四半期業績

住友ゴム工業 、タイヤ事業は835.3%の大幅増益

決算 2023-11-10

 住友ゴム工業の2023年12月期第3四半期(1~9月)業績(IFRS)は、売上収益が8,507億200万円で前年同期比8.9%増、事業利益が419億6,400万円で同239.1%増、四半期利益が272億500万円で同89.3%増だった。

 事業利益段階の増減要因をみると、増益要因は、海上運賃で327億円、価格で233億円、原材料が70億円(天然ゴム85億円、石油系▲6億円、他▲9億円)、為替で27億円、スポーツで6億円、産業品他で5億円の計668億円の増益。減益要因は、数量・構成他で253億円、直接原価で75億円、経費で26億円、固定費で18億円の計372億円の減益。差し引き296億円の増益となった。

 セグメント別にみると、タイヤ事業は売上収益が7,205億9,400万円で同9.0%増、事業利益が318億5,300万円で同853.3%増。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足等による自動車メーカーの生産制約緩和を受けて足元の販売は前年同期を上回った。

 国内市販用タイヤは、市況の停滞に加え、7月からの冬タイヤの値上げ影響もあり第3四半期の販売がやや低調に推移し、前年同期から減少。

 海外新車用タイヤは主要市場の中国で前年同期割れとなったことで、前年同期をわずかに下回った。

 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において、中国ではコロナ影響で大きく落ち込んだ前年同期を上回ったものの、市況低迷の影響で低水準にとどまっている。一方、東南アジアも総じて市況低調の中、販売が前年同期を下回った。欧州ではインフレ進行の影響で商品マインドが低下し、タイヤ需要が鈍化したことに加え、暖冬で冬タイヤ需要が低調だったこともあり、販売は前年同期を下回った。米州地域では、北米が低予算品の販売を抑制したこともあり前年同期を下回ったが、ファルケンブランドの販売が好調で前年同期を上回った。南米では海上運賃の下落などを背景に市場に輸入品が増加したが、計画通りの販売を行い前年同期並みとなった。

 スポーツ事業は売上収益が972億5,600万円で同8.2%増、事業利益が89億円で同7.8%増。ゴルフ用品は契約選手の活躍効果もあり北米・韓国など海外を中心に販売好調を維持し増収。テニス用品は物価高騰の影響等もあり販売数量は減少したが、海外向け販売の円安影響もあり増収となった。ウェルネス事業は値上げ効果や新規総合店の開店等で前年同期を上回った。

 産業品他事業は売上収益が328億5,200万円で同8.4%増、事業利益が11億9,200万円で同117.1%増。国内の使い切りゴム手袋やOA機器用ゴム部品で販売減となったが、医療用ゴム製品やインフラ事業等で受注が増加した。
 

通期業績予想を上方修正

 同社は2023年12月期通期業績予想を上方修正した。半導体不足による自動車メーカーの減産基調が緩和傾向にあることや円安効果もあり、売上収益は前回発表予想を上回る見込み。原材料価格の高騰影響の緩和や高機能タイヤ拡販による構成の改善等もあり、各利益面ともに前回発表予想を上回る見込み。

 ■2023年12月期通期業績予想
 ◇売上収益=1兆1,800億円(前回予想1兆1,700億円、増減率0.9%増)◇事業利益=630億円(同500億円、同26.0%増)◇当期純利益=290億円(同230億円、同26.1%増)

 事業利益段階の増減要因をみると、増益要因は海上運賃で409億円、価格で198億円、原材料で159億円(天然ゴム106億円、石油系53億円、他▲0)、為替で45億円、スポーツで11億円、産業品他で3億円の計825億円の増益。減益要因は、数量・構成他で274億円(北米アンチダンピング関税▲10億円、未実現利益▲162億円、その他数量・構成▲102億円)、直接原価で81億円(エネルギーコスト▲30億円、他▲51億円)、固定費で35億円、経費で25億円の計415億円の減益。差し引き410億円の増益を予想している。

 セグメント別では、タイヤ事業は売上収益1兆105億円で前期比8%増、事業利益が520億円で同322%増、スポーツ事業は1,255億円で同8%増、事業利益が100億円で同12%増、産業品他440億円で同4%増、事業利益が10億円で同41%増を予想している。

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