コラム「Front Line」
円安の輸出増が招く弊害
会員限定 連載 2023-11-06
輸出や海外販売(売上高)の多い企業にとって追い風となる為替円安だが、一方で輸入品にとっては逆風だ。
足元の為替は1ドル150円を超え、今年に入って急速に円安が進んでいる。昨年10月にも一時150円を超えたが、その後、今年1月には127円台まで上昇していた。それが、この10カ月で23円も下落した。
円安のデメリットとして、初めに思い浮かぶのが原材料価格だろう。合成ゴムの素原料であるナフサそのものの輸入価格、国産ナフサの基準となる原油価格は、いずれも為替の影響を切り離せない。円安は価格高騰要因で、それが合成ゴム価格に響き、ゴム業界にとって逆風となる。原材料に関しては天然ゴムも同様で、円安は価格押し上げ要因だ。
原材料に限らず、ユーティリティコスト、物流費にも円安はマイナスに働く。工場で用いる熱エネルギー源は重油や天然ガス、電力のもとは石炭や石油、トラック輸送の燃料は軽油やガソリン。これらは輸入に頼らざるを得ない。
一般的に円安と聞くと、輸出にはプラス、輸入にはマイナスに作用するイメージだが、円安によって輸出が促進され、
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