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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、景気懸念も円安で横ばい

連載 2022-06-27

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=250円台前半で揉み合う展開になった。世界経済の減速懸念を背景にコモディティ相場は全面安の展開になったが、ゴム相場の値動きは鈍かった。上海ゴム相場はじり安の展開になったが、為替が円安方向に振れたこともあり、円建てゴム相場は概ね横ばいでの推移に留まった。

 上海ゴム先物相場は、じり安の展開になった。大きく値を崩すには至っていないが、6月22日安値は1トン=1万2,390元に達し、年初来安値を更新している。

 これまでゴム市場においては、中国の「ゼロ・コロナ」政策による中国経済の減速リスクをどのように評価するのかが中心テーマになっていた。しかし、ここにきてグローバルなリセッション(景気後退)のリスクを織り込む動きが活発化しており、素材市況は全面安の展開になっている。ウクライナ危機を受けての混乱状態に加えて、インフレ鎮静化のために各国が積極的な利上げ政策を展開しているため、実体経済が成長を維持できないリスクが警戒されている。

 1バレル=120ドル水準で取引されていた原油相場は100ドル水準まで急落し、銅やアルミ、鉄鉱石や石炭相場なども軒並み急落している。こうしたなかで上海ゴム相場の地合は相対的に安定しているとも評価できるが、トレンドとしては下向きだった。

 産地相場も上値の重い展開が続いている。タイ中央ゴム市場の現物相場は、6月23日時点でUSSが前週比1.3%安の1キロ=63.00バーツ、RSSが同3.6%安の63.52バーツ。USSの集荷量は低迷状態が続いているが、RSSの集荷量はこの時期としては概ね標準的な水準を回復している。ラニーニャ現象が続いていることで天候不順に対する警戒感もあるが、上海ゴム連動でじり安の展開が続いている。産地主導で値上がりを打診するような動きはみられなかった。

 こうした中でJPXゴム相場を下支えしたのは、円安環境だった。6月14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国はインフレ抑制のための利上げ姿勢を鮮明にする一方、6月16~17日の日銀金融政策決定会合ではこれまで通りに大規模な金融緩和を続ける方針を確認した。日米金融政策の格差を手掛かりとした円安傾向が続いており、1998年10月以来の円安・ドル高環境になっている。このため、上海ゴム相場のじり安傾向と円安による円建てゴム相場の押し上げ圧力が拮抗しており、週を通じて明確な方向性は打ち出せなかった。リセッションのリスクを織り込む形で改めて値下がりを打診するのか、円安のサポートが維持・強化されるのかが焦点になる。

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