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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、春節明け後の上海ゴム堅調

連載 2022-02-14

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=250円台まで値上がりする展開になった。春節の連休明け後の上海ゴム相場が底固く推移する中、買い優勢の展開になった。為替が円安気味に推移したこと、産地相場の堅調地合もポジティブ材料視されており、1月下旬に急落する前の価格水準を回復している。

 上海ゴム先物相場は、1月28日の1トン=1万4,095元に対して、春節の連休明け後は1万4,000元台中盤から後半まで切り返す展開になっている。積極的に買い進まれているというよりも、春節前の投機色の強い急落地合が修正された模様だ。春節の連休中に原油相場の値位置が大きく切り上がり、インフレに対する警戒感が一段と強まったこともあり、上海ゴム相場が安値修正の動きを強め、JPXゴム相場に対しても買い安心感が広がった。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、2月9日時点でUSSが前週比3.2%高の1キロ=58.11バーツ、RSSが同4.3%高の62.55バーツとなっている。RSSは2021年11月下旬以来の高値を更新している。産地相場の価格トレンドはおおむね消費地相場と連動しているが、消費地相場が年初来高値を下回った価格水準に留まっているのに対して、産地相場はすでに高値更新サイクル入りしており、相対的な底固さが目立つ。

 東南アジアでは徐々に雨季から乾季への移行が進んでおり、それに伴いウインタリング(落葉期)入りの報告が増え始めている。モンスーンの影響でマレーシアやインドネシアの降水量は安定しているが、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなどでは週間降水量が著しく落ち込んでおり、季節的な減産圧力が意識されやすくなっている。

 タイ中央ゴム市場の集荷量も、1月中旬と比較すると半分程度まで落ち込み始めている。まだ減産圧力がピークに達するまでは時間が残されているが、季節要因に基づく供給抑制の動きが始まっていることもゴム相場を下支えしている。

 ただ、JPXゴム先物市場では大幅な順サヤ(期近安・期先高)環境が維持されており、現段階では積極的に供給サイドのリスクを織り込むような動きまではみられない。1番限と6番限の間では、10円超の順サヤ環境が続いている。ここを是正する動きがみられると、ゴム相場の上振れリスクが高まる。

 需要サイドに関しては、大きな動きは見られず、あまり材料視されていない。自動車生産環境は最悪期を脱したとの評価が維持される一方、サプライチェーンの混乱や「オミクロン株」の影響で生産が正常化しているとは言い難い状態が続いている。

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