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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、春節の上海休場で安値修正

連載 2022-02-07

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=240円台まで切り返す展開になった。上海ゴム相場主導で1月19日の253.10円をピークに28日の232.00円まで急反落していたが、その上海ゴム相場が春節の連休入りしたことで、安値修正の動きが優勢になった。

 これまで上海ゴム相場主導の投機色が強い展開が続いていたが、1月31日から上海ゴム相場が1週間にわたって春節の休場になると、最近の上海ゴム主導の売り圧力は一服した。逆に積極的に買い進むような材料は乏しかったが、原油高や株高環境を手掛かりに安値修正の動きが強まり、下げ一服となっている。ゴム需給環境はあまり材料視されない地合が続いている。

 春節に入ったことで売買は低調であり、日々の値動きも決して大きくはなかった。このため、売買材料の乏しさから膠着化する可能性も考えられたが、最近はあまり材料視されていなかった原油高や株高を手掛かりに、安値修正が促されている。

 連休明け後の上海ゴム相場が、改めて1トン=1万4,000元割れに向けて値を崩すのか、1万5,000元回復に向かって安値修正を進めるのかが焦点になる。素材市況は原油を筆頭に総じて底固く推移しており、CRB商品指数も連日のように2014年以来の高値を更新しており、ゴム相場の値位置に対しては相対的な値頃感や割安感も認められる。ただ、売買テーマ不在の投機色の強い乱高下が繰り返されているため、連休中の安値修正の動きを追認するか否かが注目される。

 タイ中央ゴム市場の集荷環境には、特に目立った変動は見られない。2月入りしたことでウインタリング(落葉期)による減産圧力も意識されやすいが、まだ供給環境に大きな変動は見られない。2月3日時点の現物相場は、USSが前週比1.8%高の1キロ=56.18バーツ、RSSが同2.8%高の59.78バーツとなっている。安値修正の動きが優勢になったが、もっぱらJPXゴム相場の反発と連動した動きであり、特に供給サイドのリスクを織り込むような動きではない。

 日本の12月鉱工業生産は前月比1.0%減、1月米ISM製造業指数は前月の58.8から57.6まで低下するなど、製造業の指標は各国で低調なものが目立った。「オミクロン株」の感染拡大による工場の稼働率低下、サプライチェーンの混乱、原材料価格の高騰などが、活動を抑制している。ただ、こうした統計を手掛かりに産業用素材市況を売り込むような動きは見られなかった。自動車工場の稼働停止報告も続いているが、ゴム市場では新車用タイヤ需要環境はすでに最悪期を脱したとの評価が維持されている。

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