【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、安値修正で底固さ見せる
連載 2021-12-20
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、RSSが1キロ=230円台をコアに揉み合う展開になった。前週は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」に対する警戒感後退でリスク資産が全面高の展開になるなかでも、ゴム相場は独歩安の展開になっていた。しかし、12月10日の225.40円で下げ一服となり、押し目買いで切り返す展開になった。積極的に買われたというよりも、安値修正の動きが優勢になっている。
上海ゴム先物相場も、1トン=1万4,000元台中盤から後半で揉み合う展開になった。12月9日の1万4,275元で底入れし、安値修正の動きが優勢になったが、1万5,000元の節目を回復するまでのエネルギーはなかった。
他リスク資産との連動性が薄れ、上海ゴム市場における投機マネーの動向に強く依存している。ただ、期先限月の乱高下に対して、当限は一貫して安定した値動きを見せており、安値には抵抗を見せている。当限主導で買い進むような動きまでは見られないが、順サヤ(期近安・期先高)の縮小は一服しており、当限主導で下値を支えられた格好にある。
中国では、12月8~10日に2022年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が開催され、2022年の経済の基本方針として「安定」を第一とする方針が示された。景気減速傾向を下支えするために財政と金融政策の積極的な活用が打ち出されており、中小企業向けの減税やインフラ投資計画の前倒しといった方針が示されている。インフラ投資計画は特に資源需要拡大に直結するだけに、鉄鉱石や石炭相場が地合を引き締め、ゴム相場に対しても買いが膨らんだ。
世界的な半導体不足による自動車生産の低迷状態に対する警戒感は残されているが、12月14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後もリスクオン環境が維持されるなか、ゴム相場も一定の底固さを見せている。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、12月16日時点でUSSが前週比0.5%高の1キロ=55.06バーツ、RSSが同2.1%高の58.74バーツ。東南アジアでは雨がちな天候が続いているが、集荷量に大きな変動は見られなかった。
2021年は、年初の225.60円から2月25日の293.60円まで急伸し、年間の高値を形成した。需要環境の回復が進む一方で、ラニーニャ現象による供給不安が強く、需給タイト感が織り込まれた。その後は自動車生産トラブルで9月21日の193.70円まで下落し、これが年間安値になっている。ただ、年末に向けては220~260円水準まで安値修正を進める展開になった。2020年の取引レンジ内での値動きに留まった。
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