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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、コロナ見極めで不安定化

連載 2021-04-12

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=250円台前半まで切り返した後、240円台前半まで軟化する不安定な値動きになった。

 上海ゴム先物相場が1トン=1万3,000元台後半から1万4,000元台まで切り返したが、その後は再び1万4,000元台を割り込むなど、不規則な値動きを繰り返していることと連動している。

 コモディティマーケット全体がボックス気味の展開になる中、ゴム相場も動意を欠いている。JPXゴム市場では出来高の低迷が一段と顕著になっており、積極的な売買が展開されているとは言いがたい状況が続いている。

 国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済成長率予想を、1月時点の5.5%から6.0%まで引き上げた。米国を筆頭に各国が大規模な財政出動を展開していることで、景気回復に対する信頼感が強くなっていることを反映したものである。先進国と発展途上国との格差拡大に警鐘が鳴らされていることには注意が必要だが、ゴムのマクロ需要環境に対してはポジティブな動きと言える。

 一方、足元では欧州、インド、ブラジル、さらには日本でも新型コロナウイルスの感染被害が広がりを見せており、ゴム需要見通しの悪化は避けられない状況になっている。変異株の感染被害が世界各地で猛威を振るっており、ロックダウン(都市封鎖)など行動規制の導入・強化に踏み切っている国も少なくない。主要市場である米国と中国経済が底固く推移していることはポジティブだが、今後の感染被害の展開状況が読めない状況に陥る中、原油や非鉄金属相場は上値が重いながら下げ渋る展開を繰り返しており、ゴム相場も同様に明確な方向性を打ち出しづらくなっている。

 一方、産地相場の値動きも鈍い。タイでは減産期入りで集荷量が明らかに抑制されているが、産地主導で価格水準を切り上げていくような動きは確認できない。タイ中央ゴム市場の現物相場は、4月8日時点でUSSが前週比0.7%安の1キロ=61.33バーツ、RSSが同0.3%高の63.56バーツとなっている。インドネシアでは逆に洪水被害の発生も報告されているが、産地相場は動意を欠いている。今後はさらに減産傾向が強まる季節トレンドにあるが、JPXゴム相場は順サヤ(期近安・期先高)を形成しており、期近限月に対して減産期のリスクプレミアムを加算することを見送っている。

 新型コロナの感染拡大リスクをどの程度見ておけばいいのかマーケットは判断を下せておらず、結果的に瞬間的な急伸や急落がみられるものの、トレンド形成には至っていない状態が続いている。

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