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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、押し目買い優勢、産地堅調

連載 2021-03-15

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=270円台中盤まで小幅切り返す展開になった。需給の引き締まりを評価して2月25日の293.60円まで急伸した後は、リスク投資の地合悪化で3月2日の256.60円まで急反落していた。しかし、徐々に押し目買いを入れる動きが優勢になっており、薄商いの持ち高調整中心の展開ながら、じり高基調になっている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万5,000元台前半をコアに揉み合う展開になっている。中国の全国人民代表大会(全人代)のイベントリスクから調整売りが膨らんでいたが、1万5,000元の節目水準では押し目買いが入り、値固めが打診されている。

 3月5日に開幕した全人代では、資産価格抑制のための政策引き締めが打ち出されるリスクが警戒されていた。しかし、李克強首相が政策の大幅な修正を否定したことで、昨年に続いて景気刺激的な政策スタンスが維持されるとの見方がゴム相場を下支えした。今年の成長目標は6%以上とする一方、新しい経済5カ年計画では成長率の数値目標を示さないなど、先行き不透明感に柔軟に対応したいとの意向が窺える。

 中国の2月貿易統計によると、1~2月の輸出は前年同期比60.6%増、輸入は同22.2%増となっている。米欧を中心に世界経済が復調する中、中国製品に対する需要が拡大していることが窺える。原油、非鉄金属などと同様に、ゴム相場も需要拡大期待を織り込み易い状況になっている。

 新型コロナウイルスは南米での感染被害が依然として深刻だが、米欧に関してはワクチン接種の開始もあって収束に向かっており、経済活動が活発化している。今後は気温上昇で外出による自動車走行距離が伸び易い季節要因もあり、ゴム需要拡大に対する期待感は強い。また、1人当たり最大1,400ドルの現金給付を含む大型経済対策が実現したことで、家計の貯蓄率が上昇し易い環境もポジティブ。

 一方、タイ中央ゴム市場の現物相場は、3月11日時点でUSSが前週比4.5%高の1キロ=63.21バーツ、RSSが同3.9%高の68.71バーツとなっている。2月下旬の相場急伸局面で在庫売却が加速していたことに加えて、減産シーズンに差し掛かかる中、集荷量の抑制で産地相場は堅調。

 ただ、マーケットの供給サイドに対する関心は高まらず、産地主導の値上がり圧力は確認できなかった。JPXゴム相場のサヤをみても、期近限月に供給プレミアムを織り込むような動きは見られず、サヤバランスは乱れている。これから減産期入りに伴う産地主導の上昇圧力がみられるかが焦点になる。

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