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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、押し目買い優勢も決め手難

連載 2020-12-21

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=240円台中盤まで切り返す展開になった。12月3日の266.70円をピークに11日の226.00円まで急落していたが、押し目を買い拾う動きが強まり、安値修正の動きが優勢になった。ただ、年末が近づく中で売買は低調であり、積極的に買い進むような動きまでは見られなかった。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万4,000元の節目割れを回避し、1万4,000元台前半から中盤まで小幅に切り返した。ただ、改めて1万5,000元台回復を試すような動きは鈍く、急落後の自立反発が中心の値動きになっている。

 特に意味なく乱高下する場面が目立ち、値動きは極端に不安定化している。乱高下しているが、数日単位でトレンドが転換しており、クリスマス休暇、年末に向けての持ち高調整中心の展開になっていることが窺える。

 一方で、産業用素材市況は全般的に強含みの推移になっている。米国でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まる中、中長期的な経済活動正常化に対する期待感が、素材市況を押し上げている。中国経済成長に対する信頼感の強さもあり、2020年に大きく落ち込んだ需要が、2021年に回復に向かう流れが先取りされている。

 原油相場が3月上旬以来の高値を更新しているのがシンボリックだが、鉄鉱石や石炭、銅など非鉄金属相場も、軒並み高騰している。株価も世界的に底固く推移しており、ゴム相場のみが大きく値崩れを起こすような需要環境・見通しにはない。ただ、ゴム相場に関しては10月、11月と記録的な急伸、急落相場を繰り返す荒れた展開が続いていただけに、12月入りしてからは積極的に売買を仕掛けるような動きが限定されている。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、12月17日時点でUSSが前週比3.6%高の1キロ=61.51バーツ、RSSが同4.7%高の64.59バーツ。消費地相場の切り返しと連動して、産地相場も強含んでいる。

 産地の気象環境は秋と比較すると安定化しているが、インドネシアやマレーシア、タイ南部などでは引き続き雨がちな天候が報告されており、集荷量は伸び悩んでいる。

 産地主導で安値修正を進めるような動きは見られなかったが、JPXゴム先物市場では再び逆サヤ(期近高・期先安)傾向が強くなっており、「逆サヤに売りなし」の相場格言通りの値動きになっている。

 すでにクリスマス・年末ムードが強まる中、年内はこのまま持ち高調整中心の展開が続く可能性が高まっている。ただ、株式・素材市況が強含みの推移を続ける中、改めて買い上がる動きがみられるかが注目される。

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