【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、高値波乱で不安定な値動き
連載 2020-10-05
マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=191.10円まで上昇して9月3日以来の高値を更新した後、180円台中盤まで上げ幅を削る展開になった。産地相場が改めて騰勢を強めたことで、JPXゴム相場も期近限月主導で戻り高値を更新している。ただ、価格高騰が改めて集荷量の増加を促すと、早めに調整売りを進める動きが目立ち、明確な上昇トレンドを形成することはできなかった。
上海ゴム先物相場も1トン=1万2,000元台後半まで上昇した後、1万2,000元台中盤まで下押しされる不安定な値動きになっている。産地主導で9月3日以来の高値を更新したが、早めに利食い売りを進める動きが目立った。なお、中国は10月1日から国慶節の連休入りしている。
産地相場は、週前半に大きく上昇した後、反落する不安定な値動きになり、前週比ではほぼ横這いに留まった。タイ中央ゴム市場の現物相場は、10月1日時点でUSSが前週比0.5%安の1キロ=55.13バーツ、RSSが同0.8%安の56.83バーツとなっている。低集荷環境を背景に瞬間的に急伸したが、価格が高騰すると集荷量が増え、調整売り優勢の展開になっている。最近の傾向として、RSSは50バーツ台前半だと荷動きが鈍化する一方、60バーツに近づくと荷動きが活発化する傾向にあり、50バーツ台で適正な集荷量が確保できる値位置を探る展開が続いている。
目先は、価格調整が進んだことで改めて集荷量が落ち込んで相場がサポートされるのか、値下りしても集荷量が増えて、もう一段階の価格調整を誘うのかが焦点になる。
ラニーニャ現象の影響か、東南アジアでは雨がちな天候が続いており、モンスーンの発生も報告されている。各地でゴム集荷障害が報告されているが、大規模な洪水被害が発生するような状況とはなっていない。ただ、引き続き需要環境と供給環境とで正常化プロセスのペースに違いがみられる中、産地では需要に見合った供給量を確保できるのか、不安視する向きが多い。産地相場が高止まりする中、JPXゴム先物市場でも当先の間で30円前後の極めて大きな逆サヤ(期近高・期先安)が形成されており、需給ひっ迫評価を反映したサヤバランスになっている。
新型コロナウイルスの死者は100万人を超え、欧州以外でも米国、インド、ブラジル等の感染被害が深刻化している。ただ、現時点ではロックダウン(都市封鎖)の再導入には各国政府が慎重姿勢を崩しておらず、需要不安を織り込むような動きは限定されている。逆に米中を中心とした良好な経済指標が非鉄金属などと同様にゴム相場もサポートしている。
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