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連載「つたえること・つたわるもの」(98)

空の<青>、山の<緑>。太陽から届く癒しのメッセージ。

連載 2020-09-23

 フォトセラピー(光療法)の第一人者、ジェイコブ・リバーマンは、その著書『光の医学』(ジェイコブ・リバーマン著、飯村大助訳、日本教文社、1996年)に「人体は光電池」として、次のように書いている。

 月が昇るたびに、やすらぎを与えてくれる夜の暗闇は、エネルギッシュな昼の輝きへと移り変わり、生きとし生けるものは命を吹き込まれる。
 花は開き、動物や人は目覚め、世界には活力がみなぎり、新しい一日が始まる。昼を表す色は、太陽の<黄>、空の<青>、地球の<緑>である。昼の時間がたつにつれて、周囲の色の変化が際立ち、同時にその変化に応じた影響があらゆる生命に現れる。夕陽の<赤みがかかったオレンジ色>が夜のダークブルーにとけ込み始めて一日の終りが訪れると、生理学的な活動はみな次第に歩みをゆるめ、やがて静まって回復期に至る。昼から夜へのこうした劇的な色の推移は、あらゆる生体内で内部ギアの切り替えが起きていることを示している。自然が色彩スペクトルの一端(昼の赤橙色)から他の端(夜のダークブルー)へと次第に切り替わっていくにつれて、人体も機能モード(労働)から、別のモード(休息)へと切り替わる。

(『光の医学』3~4ページ)

 一日の色の変化は生体リズムと密接に結びつき、さらに季節の色の変化も生体内の生物学的な変化に影響する。植物の種まき・生育・収穫、動物の冬眠・渡り・繁殖などが季節周期で起こるのは、周囲の光の変化との関係が大きい。太陽の光がもたらす色の変化が、身体の内部ギアを切り替えているのである。

 私たちをやさしく包んでくれる空の〈青〉、山の〈緑〉を求めて、秋のGoToトラベルに出かけよう!

【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう)
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員

 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。

 2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。

 おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。

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